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データドリブン経営とは?導入事例や手順、注意点を解説!

データドリブン経営とは?導入事例や手順、注意点を解説!

データドリブン経営とは?導入事例や手順、注意点を解説!

業界を問わず、経営状態に関わる要因は非常に多く、また刻一刻と移り変わります。人が全てを把握して改善策を立てるのは非常に難しいですし、持続性を欠きます。どうしても判断ミスが出てしまい、経営状態の悪化を招くこともあるでしょう。

そこで近年注目を浴びているのが、客観的なデータを基にビジネス戦略を立てる「データドリブン経営」です。

本記事では、データドリブン経営の注意点やメリットから、導入までの手順もご紹介します。

データドリブン経営を始めようか考えている方は、本記事を参考に、自社への導入が適切かどうかを確認してみてください。

データドリブン経営とは?

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データドリブン経営とは、データを根拠に事業アクションを導く科学的な経営手法です。データという確かな根拠に基づいて経営を行うため、有効な経営手段の一つとして注目されています。

感覚や経験に依存する従来の経営手法に比べ、より確実性と再現性を持つことから、経営の信頼性と効率性を向上させる有効な手段として認識されています。

具体的には、ビッグデータやAI(人工知能)を活用することで、ビジネスのパフォーマンスを測定し、最適化するための洞察を得ることが可能になってきています。これらの要素が、データドリブン経営が広く採用される推進力となっています。

データドリブン経営が求められる背景

企業の経営は複雑かつ多くの因子によって左右されるため、従来は「こうなるだろう」という上層部の経験や勘によって下されていました。

しかし、勘や経験によって下された経営判断は、要素の見落としや判断ミスなどの人的ミスが含まれるリスクを避けられません。そのため、データという明確な根拠に基づく経営判断が求められるようになりました。

DX(デジタル変革)が進む現代企業では、先進的な技術の発展によりデータの収集と解析が容易になっています。そのデータを経営判断にも活用することで、競争力を強化し、利益率をより上げられる可能性が高くなります。

データドリブン経営のメリット

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データドリブン経営を行うと、以下のようなメリットが得られます。

  1. 自社の強みや改善点を発見できる
  2. データ活用により業務効率化が図れる
  3. 迅速かつ正確な経営判断
  4. 顧客が求めるサービス・製品に近づけられる

それぞれのメリットについて詳しく説明します。

自社の強みや改善点を発見できる

データドリブン経営を行うと、これまで気づいていなかった自社の強みや潜在的な課題を見つけられます。データ分析により、目的以外の経営問題も発見できるかもしれません。

データ分析では、直感や経験といった主観や感情が影響を及ぼす余地がありません。これにより、より客観的かつ精度高い経営評価が可能になります。データドリブン経営を行うと、これまで気がつかなかった自社の真の強みや弱みを把握できるでしょう。

データ活用により業務効率化が図れる

データドリブン経営の一環として収集したデータは、経営戦略の策定だけでなく、他の業務プロセスにおいても活用できます。データの多面的な活用により、データを駆使した業務効率化が可能となります。

即座に活用できないデータも、将来的に有用性が出てくる可能性があるため、適切なデータ管理と保存が重要となります。

迅速かつ正確な経営判断

データドリブン経営は、データに基づく高精度な予測を迅速に行うことができます。現代のビジネス環境は、市場の急速な変化と競争の激化により、事業運営における意思決定のスピードがより一層重要となっています。また、現代のビジネスは多様で複雑な要素が入り組んでおり、素早いかつ正確な経営判断を行うのはますます困難です。

しかし、データと分析ツールを駆使することで、リアルタイムデータを基にした経営情報をすばやく得ることが可能となります。リアルタイムデータの活用により、競争相手に先駆けて市場変動に対応することができます。

顧客が求めるサービス・製品に近づけられる

データドリブン経営の一部として収集したデータを利用することで、顧客の潜在的なニーズを探求できます。顧客が求めるサービス・製品がどのようなものかを知ることができるのです。

この洞察に基づいて、サービス・製品の改良を進めることで、顧客満足度を向上させ、その結果として顧客満足度の向上や新規顧客の獲得につながる可能性があります。

データドリブン経営をする際の注意点

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データドリブン経営を行う際には、以下の3点に注意する必要があります。

  1. データを扱える人材を用意しなくてはならない
  2. データに囚われすぎない
  3. 社内全体で取り組まないと効果が落ちる

ここでは、注意すべき理由や、解決案などを解説します。

データを扱える人材を用意しなくてはならない

データドリブン経営の実行には、データ分析やデータマネジメントのスキルを持った人材が必須となります。大量のデータから価値ある洞察を引き出すために「データサイエンティスト」や「AIエンジニア」のような専門職が重要な役割を果たします。しかし、これらのスキルセットを持った人材は珍しく、企業内に最初から在籍していることは珍しいでしょう。

さらに、データ解析ツールの選定や運用にも専門的な知識が求められます。例えば、機械学習では「Python(パイソン)」や「R言語」、ビジュアル解析ツール「Tableau(タブロー)」などが挙げられます。これらを導入・活用するためには一定の知識が必要であり、データの種類や目的により適切なツールや解析方法は異なります。

このような課題を解決するためには、外部の専門会社にデータ解析を依頼するのも有効です。

データに囚われすぎない

データを駆使した経営は、より合理的かつ効率的な経営判断を可能にしますが、それに伴うコストも考慮する必要があります。特に、データ解析やデータ科学に初めて取り組む場合、学習コストが膨大となり、結果的に人件費の増加や過剰な業務負荷となる可能性があります。

このため、適切なバランスを保つことが重要です。データに囚われすぎて業務効率が落ちてしまわないよう注意してください。全てをデータに依存するのではなく、経営の直感や経験もバランスを取りながら取り入れることが求められます。

社内全体で取り組まないと効果が落ちる

データドリブン経営は、社内全体のデータを活用することで初めて真価を発揮します。組織全体のデータが取り扱える状態を作り出すことは、全体最適の視点で経営を行うために重要です。仮に、社内の一部データしか利用できなければ、分析の精度が落ちてしまい、データ活用の効果を最大限活かせなくなってしまいます。

たとえば、顧客データがマーケティング部門だけの情報であれば、製品開発や物流などの他部門がその情報を活用できないため、組織全体としての効果が出にくくなります。

初めから理解を得られない場合は、まずは部署・部門単位でのデータ活用に成功し、その成果を社内全体で共有するのが効果的でしょう。次に組織全体でデータ活用の必要性を理解し、データの活用範囲を広げていくことが望ましいです。

データドリブン経営を導入する手順

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データドリブン経営を行うには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. データドリブン経営を行う目的を明確にする
  2. 組織全体の理解と協力の獲得
  3. データを収集する
  4. データの分析を行う
  5. データを活かした経営判断を下す

ここでは、それぞれの手順について詳しく解説します。

データドリブン経営を行う目的を明確にする

データドリブン経営を行う最初のステップは目的の設定です。データドリブン経営の効果を最大化するためにも、目的を明確にすることは非常に重要です。

例えば、経営効率の向上、新たなビジネスチャンスの発見、顧客満足度の向上など、何のためにデータドリブン経営を行うのかを明確にします。この目的によって、収集すべきデータの種類や分析手法が変わるため、明確な目的設定は非常に重要です。

組織全体の理解と協力の獲得

データドリブン経営は、組織全体でデータを扱うことになるため、全社員の理解と協力が必要です。

特に、データによる意思決定を推進するためには、経営層の理解と支持が不可欠です。このステップでは、データドリブン経営の重要性と目的を全社員に共有し、理解と協力を求めます。

データを収集する

次に、必要なデータを収集し、管理します。この際、データを一元的に管理するためのシステム、例えばデータウェアハウスやデータレイクを設置することが重要です。

データを最大限活かすためにも、全てのデータを全ての部署で活用できるような仕組みを作るようにしましょう。また、各部署から集められたデータが一貫性を持つように、データの品質管理も行います。

データの分析を行う

データが集められたら、そのデータを分析します。ここで重要なのは、データクレンジングです。データクレンジングでは不適切なデータや欠損データを取り除き、分析の品質を保ちます。データクレンジングをせずに分析してしまうと、精度の低い予測となってしまいます。

具体的な分析手法は目的によりますが、統計分析、機械学習、ディープラーニングなどがあります。

データを活かした経営判断を下す

最後に、分析結果を基に経営判断を行います。この際、データの解釈とその意味を理解することが重要です。データを活用することで新たなビジネスチャンスを発見できたり、気が付いていなかった強みや弱みなどを把握するきっかけになるかもしれません。

また、データドリブン経営は一度限りのプロジェクトではなく、継続的なプロセスであるべきです。そのため、一度行った分析と意思決定を見直し、改善するルーチンを定期的に行います。

データドリブン経営をお考えなら日本初の英王立統計学会(RSS)認定を取得したBig Data Labへぜひお問い合わせください。 プロのデータサイエンティストが、貴社のデータドリブン経営を伴走支援します!

データドリブン経営の事例

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ここでは、実際どのようにデータドリブン経営が行われているのかを、3つの事例を挙げてご紹介します。経済産業省の「製造業DX取組事例集」を参考にしています。

  • データ分析で自社の弱みを把握し改善案を発見(今野製作所)
  • 高品質・多量のデータを用いて高い利益予測を実現(Softbank)
  • データ分析を通し各拠点で問題点の発見・解決が行える仕組みを構築(ヤマハ発動機)

データ分析で自社の弱みを把握し改善案を発見(今野製作所)

今野製作所は、業務内容をデータ分析することで自社の弱みを把握し、改善案を見つけ出すことに成功しました。

同社は受注形式を変更してから、受注への対応力不足や一部従業員への負荷集中、納期遅れなどが発生するようになりました。そこで、これらの課題を解決して適した経営方針を見つけるために、データ分析を用いて業務スタイルの見直しを図りました。

その結果、現場職人の技術と営業だけで会社が成り立っていることが判明しました。それを活かし、「事業の高付加価値化を推進する」というデータに基づく経営方針を立てることに成功しているようです。

※参考:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000312.pdf

高品質・多量のデータを用いて高い利益予測を実現(Softbank)

通信サービスを提供しているSoftBankは、高品質かつ多量のデータを収集することで、高精度な利益予測を実現し、正確な経営判断に役立てています。

SoftBankと言うとデータドリブン経営の最先進企業のイメージがあります。しかし、実は売上総利益(粗利)の予測精度が低いという課題を抱えていました。その主な原因は、現在進行中の案件だけに基づいて予測していたこととスタッフが個人ごとにKPIを管理していたことでした。

そこで、社内のさまざまなシステムに散在していたデータを統合して管理するようにしました。担当者が営業実績を入力すると、即座にデータを反映した利益予測が表示される仕組みも採用しています。これにより、担当者が実績を記録する動機ができ、データの報告漏れや遅れを抑えられます。

さらに同社は、データ収集ツールの社内説明会などを行ったり、部署に合わせた予測ツールのカスタマイズをしたりすることで、社員全員がデータを活用できる仕組みを採っています。

これにより、社員一人一人がデータ活用の役割を認識し、データドリブン経営が浸透した組織作りを行うことにも成功しています。

※参考:https://diamond.jp/articles/-/234846

https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202010/data-driven/#:~:text=%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C-,%E3%81%B0%E3%80%81%E6%AD%A3%E7%A2%BA%E3%81%AA%E5%88%A9%E7%9B%8A,-%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%81%AF%E3%81%A7%E3%81%8D

データ分析を通し各拠点で問題点の発見・解決が行える仕組みを構築(ヤマハ発動機)

ヤマハ発動機は、データを分析から活用までできる人材を育成し、各拠点でデータドリブン経営が行える体制を整えました。これにより、各拠点でデータやツールを活用し、課題を解決できる仕組みの構築に成功したようです。

これまで同社は、既存の問題点を逐次改善していくという地道な戦略を採っており、戦略的な経営視点が欠けているという問題点がありました。

これを解決するため、自社のエンジニアにデータ分析の研修を行い、事業目的に適した分析ができる人材を育成しました。これにより、各拠点でデータ収集から分析を行えるようになり、データを用いた戦略立案を容易にしました。

同社は、これらを実現できたことから、業務効率化や不良率低減などの二次的効果も得ることができたようです。

※参考:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000312.pdf

まとめ

本記事では、データドリブン経営の概要や導入方法、事例を紹介してきました。

データドリブン経営をすることで、これまで気が付かなかった課題を見つけられたり、経営判断に関わる時間を削減したりすることができます。

経営判断がうまくできていないと感じる方は、データドリブン経営を導入してみてはいかがでしょうか。

ただし、データの管理やIT系の技術者がいない場合は、自社だけでデータドリブン経営を進めるのは難しいです。

そのような場合、コストや時間の面でおすすめなのが、データ収集・解析の外注です。外注をする場合は、自社のデータを安全に集め、有効に活用できるよう、信頼できる開発会社を見つけるようにしてみてください。