ビッグデータとは?業界別の活用例やメリット、導入時の問題点を解説!
デジタル時代の進行に伴い、ビッグデータは経済全体を支える一方で、その真の活用方法は多くの企業にとって未だに未知の領域かもしれません。ビッグデータは現代社会における価値ある資源であり、それを適切に理解し、経営戦略に組み込むことで、企業は競争力を向上させることが可能です。
IT技術の進歩により、大量のデータを収集・活用できるようになりました。しかし、自社にどのように活用するかをイメージできる方は、あまりいないのではないでしょうか。
本記事では、ビッグデータを活用するメリットや、身近で活用されている例をご紹介します。さらに、ビッグデータ活用に伴う潜在的なリスクと対策も詳しく解説します。これにより、ビッグデータを戦略的に活用しながら、その落とし穴を避けるための情報を提供します。
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ビッグデータとは?
ビッグデータとは、人間では全体像を理解できないほど巨大なデータです。と言っても最近は、単なるデータ量が大きいデータを指す用語ではなくなってきました。
ビッグデータの正しい特性を理解するために、以下の「3つのV」という観点から具体的に解説します。これら「3つのV」がビッグデータの鍵となる特性であり、これらの特性を理解し活用することで、ビジネスの効率化や新たなビジネスモデルの開発、競争優位性の確保など多くの可能性を引き出すことができます。
Volume(量)
ビッグデータの最も直感的な特性がその巨大な量です。数十テラバイトからペタバイト単位まで及ぶデータ量があります。
この大量のデータを活用することで、企業は顧客の行動や市場の動向をより詳細に理解し、予測することが可能となります。
Variety(種類)
ビッグデータはその多様性も特徴です。従来のデータベースで管理されてきた構造化データ(数値やカテゴリデータなど)だけでなく、テキスト、画像、音声、動画、ソーシャルメディアデータなど、多様な非構造化データも含まれます。
この多様性が、ビッグデータを活用することで新たな知識や洞察を得るための重要な要素となります。
Velocity(速度)
ビッグデータはその生産・収集・分析が高速に行われることも特徴的です。リアルタイム、またはほぼリアルタイムでデータが生成・収集され、解析されます。
この高速性により、企業は即時の意思決定を可能とし、市場の変化に迅速に対応することが可能となります。
ビッグデータの種類
ビッグデータは、以下の4つに分けられます。
データの種類 | 生成元 | 性質 |
オープンデータ | 国・地方公共団体 | 政府や地方公共団体が保有する公共情報で、誰もが自由にアクセスし利用できるデータです。
気候や人口統計、交通、公衆衛生など、社会全体に関わる重要な情報が含まれています。 |
企業の暗黙知(ノウハウ)データ | 企業 | 企業がビジネス活動を通じて蓄積したノウハウや知識などの情報です。
商品開発や営業戦略、顧客対応などに関わる企業独自の知見が含まれます。 |
M2Mデータ(Machine to Machine) | 企業 | 企業が保有する機械や設備から得られるデータです。
製造ラインの動作状況や製品の使用状況など、具体的な数値やイベントをリアルタイムで記録したものです。 |
パーソナルデータ | 個人 | 個々の人々が発生させるデータで、通常は個人を特定できないように匿名化・集約されています。
ウェブの閲覧行動や購入履歴、位置情報など、個々の人々の行動や嗜好に関する情報が含まれます。- |
企業の暗黙知(ノウハウ)データとM2Mデータは合わせて「産業データ」と呼ばれることもあります。
身近なビッグデータの例
さらに具体的で身近なビッグデータの例に以下があります。
- ソーシャルメディアの閲覧履歴
- 地図アプリ利用中の移動履歴
- ECサイトでの購入履歴
- 過去の気象情報
- 工場内で得られた蓄積データ
- ビジネスツールの利用データ
これらのデータを適切に活用することで、新たな市場動向の発見や顧客行動の理解、効率的なビジネス運営、予測分析など、従来では考えられなかったような新しい価値を生み出すことが可能となります。
ビッグデータを活用する3つのメリット
ビッグデータを活用すると、以下の3つのメリットが得られます。
- データに基づいた高精度な予測・分析ができる
- 結果が実施者に左右されない
- リアルタイムで分析や予測ができる
データに基づいた高精度な予測・分析ができる
ビッグデータの最大の強みは、その広範で詳細なデータセットに基づいた高精度の予測・分析能力です。この結果として、より質の高い情報に基づく意思決定や経営判断が可能になります。
加えて、データに基づく予測はその根拠が明確であるため、経験や勘に頼るよりも周囲からの理解や信頼を得やすくなります。これは「データドリブン経営」という経営スタイルの根底をなし、今日の企業経営においてますます重視されています。
データドリブン経営は「データドリブン経営とは?導入事例や手順、注意点を解説!」で詳しく解説しています。
結果が実施者に左右されない
データに基づく予測や分析は、個々の実施者の主観や経験に影響されず、客観的かつ再現性のある結果を提供します。これは、人間による解釈や予測が差異を生じやすい対照的な特徴であり、ビッグデータの信頼性を高めています。
リアルタイムで分析や予測ができる
ビッグデータは、その高速で生成・更新される特性を活用して、リアルタイムの情報に基づく需要予測や状況評価を可能にします。これにより、過去のデータだけでなく現在の動向も考慮に入れることで、より的確で即時の経営判断を下すことができます。
リアルタイム分析ができれば、未来の予測だけでなく、現状の評価も可能です。リアルタイム分析に加えて現状評価もしたい場合には、情報を収集しながら解析も行えるようなツールを選ぶようにしてみてください。
身近な業界でのビッグデータ活用事例
ビッグデータは、既に多くの業界で活用されています。ここでは、身近にビッグデータが活用されている例を紹介します。
- 飲食|来店数や在庫の需要予測
- 製造|不良の原因特定
- 気象|天気や気温の予測
- 地図|GPS情報による人流予測
- EC|パーソナライズ化した広告表示
飲食|来店数や在庫の需要予測
一部の飲食店では、ビッグデータを用いて来店数や必要な食材の需要を予測しています。例えば、特定の日に特定の天気だったときの売り上げ、あるいは特定の曜日や特定の時間帯の来客数といったパターンを認識します。これにより、レストランは食材の発注やスタッフのスケジュールを効率的に計画できます。
需要予測を行うことで、ムダな発注や発注業務の削減のほか、適切な人員配置が可能です。このように、多数の要因が関わる飲食店の需要も、ビッグデータを用いることで効率的に予測できます。
製造|不良の原因特定
製造業界では、製造現場のデータを解析することで、不良の原因を特定しています。現場の温度や湿度のほか、どのような音が出ているかなどの幅広いデータを基に不良の特定が可能です。
工場では数々のセンサーからリアルタイムで膨大なデータを収集し、マシンラーニングアルゴリズムを用いて生産ラインの異常を早期に検出し、不良の原因を特定します。
これにより、修理コストやダウンタイムを削減し、全体的な生産性と品質を向上させることが可能になります。
気象|天気や気温の予測
出典:気象庁「天気予報の精度検証結果」
気象予報は、過去の気象データのほか、気象衛星や地上の気象観測所などのビッグデータを基に立てられています。これには衛星データ、地上の観測所からのデータ、気象風船からのデータなどが含まれます。
自然現象は予測が非常に困難な分野ですが、ビッグデータを用いることで日々の天気や気温を予測しています。ビッグデータの解析精度向上や、蓄積データの増加により、年々予測精度は改善されています。
地図|GPS情報による人流予測
GPS情報を活用することで人々の移動パターンを理解し、人口密度や人流・交通流の予測が可能になります。これは都市計画、交通マネジメント、リテール業界、イベントプランニング、緊急サービスなどの多くの分野で利用されています。
例えば、飲食やエンタメに関するイベントは、人流が多い場所で行われます。また、バスルートの改善や、非常時のリアルタイム人流データに基づく救援ルートの策定などといった利用もされています。
EC|パーソナライズ化した広告表示
オンラインショッピングサイトやSNSなどから集められたユーザーの行動データを用いて、特定のユーザーが興味を持ちそうな商品やサービスを予測し、パーソナライズ化された広告を表示できます。
これにより、広告のクリック率や購入確率を大幅に向上させることが可能になります。人がより興味を持つ製品やサービスを勧めることで、興味を持ってもらえる確率を上げることができます。
ビッグデータ活用するための4つの問題点・課題
ビッグデータの活用には、以下のような問題点や課題があります。
- ビッグデータを扱える人材が少ない
- セキュリティ性能を上げなければならない
- プライバシーを侵害しないようにしなければならない
- データ収集・運用にコストがかかる
それぞれの理由を解説します。
ビッグデータを扱える人材が少ない
ビッグデータを活用するには、データ分析の専門知識を持つデータサイエンティストやデータエンジニアが必要となります。組織はこれらのスキルを持つ人材を自身で育成するか、外部から引き入れるために高い給料を提供することが必要となります。
データサイエンティストやデータエンジニアは、数学、統計学、コンピューターサイエンスの深い知識を必要とし、そのようなスキルを持つ人材は確かに不足しています。経済産業省は2030年に、最大で79万人、少なくとも41万人のIT人材が不足すると予想しています。
人材不足を抑制するため様々な取り組みが行われていますが、IT需要が増加する中で日本の人口は減少傾向にあるため、人手不足を完全に解消するのは難しいと言えるでしょう。
セキュリティレベルを上げなければならない
ビッグデータは、重要な商業情報や個人情報を含む可能性があります。このような情報が不適切に取り扱われると、組織の信頼や評判を損なう可能性があります。
したがって、データの保護とプライバシーに関する法律の遵守は、ビッグデータを扱うすべての組織にとって重要です。
また、セキュリティが破られることで金銭等の資産を奪われたり、業務が継続できないような障害が発生することがあります。このような事態を避けるために、ビッグデータの導入時には企業として情報セキュリティレベルの見直しが必要です。
万が一のリスクが非常に大きいため、自社内でセキュリティ性能を担保できない場合は、事前に専門業者へ相談したほうが良いでしょう。
プライバシーを侵害しないようにしなければならない
ビッグデータの中には、個人情報やプライベートな写真など、プライバシーに関わる情報が含まれていることがあります。これらのデータを扱う際には、プライバシーを侵害しないように注意しなくてはなりません。
また、ビッグデータの中には、複数の情報を組み合わせることでプライバシーを侵害してしまうこともあります。例えば、GPSによる行動履歴と、各地点の防犯カメラの情報を組み合わせることで、個人を特定できることがあります。
このように、情報の組み合わせ方や利用方法によってはプライバシーを侵害してしまう可能性があります。ビッグデータは情報資産として売却できることがありますが、他社へ情報を提供する際は、プライバシーを侵害するリスクがないかを十分に確認するようにしてください。
データ収集・運用にコストがかかる
ビッグデータの収集、保管、分析には高額なコストがかかる可能性があります。データを収集しながら保管する仕組みを作るのに加え、保守管理体制を整える必要があります。
また、データの質を維持し、データの意味を理解し、データを効果的に利用するための適切なツールとスキルが必要です。これらのコストは、ビッグデータの投資回収に影響を与える可能性があります。
保守管理にかかるコストがビッグデータを活用して得られる効果よりも小さければ、ビッグデータの運用を続けることは難しくなるでしょう。導入時には、ビッグデータの活用で経済的な効果を出せるかを確認しておくようにしましょう。
まとめ
本記事では、ビッグデータの概要から、実際に活用されている分野やその例、導入時の注意点などを解説してきました。
ビッグデータはうまく利用すればビジネスに大きなメリットをもたらしますが、プライバシーを侵害する可能性があることや、セキュリティ性能を上げなければならないなどの注意すべき点もいくつかあります。
このような事態を招かないためにも、自社にビッグデータを扱える人材がいない場合は専門業者への外注がおすすめです。特に、データについて詳しくない方が担当するとなると、教育や勉強に大きなコストがかかります。
外注の方がコスト面で有利になることが多いので、まずは専門業者に相談してみてください。
- ビッグデータとは?業界別の活用例やメリット、導入時の問題点を解説!
- ビッグデータとは?
- Volume(量)
- Variety(種類)
- Velocity(速度)
- ビッグデータの種類
- 身近なビッグデータの例
- ビッグデータを活用する3つのメリット
- データに基づいた高精度な予測・分析ができる
- 結果が実施者に左右されない
- リアルタイムで分析や予測ができる
- 身近な業界でのビッグデータ活用事例
- 飲食|来店数や在庫の需要予測
- 製造|不良の原因特定
- 気象|天気や気温の予測
- 地図|GPS情報による人流予測
- EC|パーソナライズ化した広告表示
- ビッグデータ活用するための4つの問題点・課題
- ビッグデータを扱える人材が少ない
- セキュリティレベルを上げなければならない
- プライバシーを侵害しないようにしなければならない
- データ収集・運用にコストがかかる
- まとめ
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