Kaggleとは? メリットや使い方、勉強法などを解説!【初心者向けのコンペ一覧も掲載】
データサイエンティストになるために機械学習を学習するとき、Kaggleがおすすめされることがあります。興味を持って調べたけれど、どのようなサービスなのかよくわからなかった方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、データ分析のプロを認証する事業者の立場から、Kaggleの概要をおさらいしつつ、メリットや使い方、初心者向けの勉強法などを解説します。初心者向けのコンペ一覧やおすすめの本もまとめてみたので、Kaggleを始める際にぜひお役立てください。
Kaggleとは?
Kaggleとは、データ分析に関するコンペティションに参加できるプラットフォームです。世界中の統計家やデータ分析家、データサイエンティストなどが、さまざまな課題について予測精度などを競い合います。
2010年に米国でスタートし、2017年にはグーグルが買収し、Alphabet傘下になりました。
2020年時点で10万人以上のデータサイエンティストが参加しています。売上予測や貸し倒れリスクの予測など、ビジネスにおける課題が企業から出題されました。リクルートやメルカリなど、日本の大手企業もKaggleでコンペを開催しており、国内でもデータ分析関係者の間で知名度の高いサービスとなっています。
ただ、Kaggleは海外サービスなので、サイトは日本語ではなく英語で表示されています。ブラウザでは日本語表示に翻訳できるので、英語が苦手な方でもおおよそ内容を理解できるでしょう。
Kaggleに興味がある状態からコンペに参加できる状態を目指せる入門書もあります。そのほか、実際に利用した方の体験談をブログで確認することも可能です。
Kaggleの解説情報が増え、利用ハードルは下がってきています。データ分析に興味がある方は活用を検討してみるとよいでしょう。
Kaggleのメリット
Kaggleの概要についてご説明しました。Kaggleの魅力を知るには具体的なメリットを知る必要があります。引き続き、Kaggleのメリットを解説します。
メリット1.データサイエンスのスキルを習得できる
Kaggleでは魅力的なデータ分析のコンテストが開催されており、参加してデータサイエンスのスキルを磨けます。
具体的なコンテストの例は下記の通りです。
コンテスト | 内容 |
Store Sales - Time Series Forecasting | 大手食料品小売業者のデータに基づき店舗の売上を予測する |
ISIC 2024 - Skin Cancer Detection with 3D-TBP | 3D全身写真から単一病変を切り出して組織学的に確認された皮膚がんの症例を識別する画像アルゴリズムを開発する |
House Prices - Advanced Regression Techniques | 79の変数を用いて各住宅の最終販売価格を予測する |
中には初心者向けのコンペティションもあり、趣味でKaggleを始めてデータサイエンティストになる方も見受けられます。データサイエンティスト志望者がデータ分析のきっかけを得るためにKaggleは役立つでしょう。
メリット2.賞金稼ぎもできる
Kaggleでは、データ分析コンペで上位に入賞することで賞金稼ぎもできます。
データ分析が得意な方であれば、データサイエンススキルを磨きながらお金を稼ぐことも可能です。中には合計で100万円以上の賞金を獲得した日本人も見受けられます。
初心者では稼ぐことができなくても、いつか賞金を獲得できるかもしれないという事実には、夢があります。
賞金稼ぎを目標にすれば、人によっては学習のモチベーションも高まるかもしれません。長期目線で、ゲーム感覚のように楽しくデータサイエンスを学べるのは、Kaggleならではのメリットでしょう。
メリット3.称号を獲得して実績にできる
Kaggleでは、企業や政府機関がコンペ形式で提示する課題に対して、機械学習で最適なソリューションを提案した参加者に、成績に応じたメダルを付与するとともに、メダルの通算獲得枚数によって称号も授与しています。
具体的な称号は下記の通りです。
・Grandmaster
・Master
・Expert
・Contributor
・Novice
KaggleのコンペでMasterを獲得した社内のデータサイエンティストについて、大手企業がプレスリリースとして社外に発信するケースもあります。会社としてデータ分析のノウハウを世に示し、ビジネスにつなげる狙いがあるのでしょう。
このようにKaggleの称号はデータ分析の実績として活用できるため、称号を獲得できればデータサイエンティストとしての転職も有利に進められるに違いありません。
メリット4.チームでのデータ分析も経験できる
Kaggleは1人で気楽にデータ分析に取り組める一方で、チームを組んで参加することも可能です。
たとえば、会社内のメンバーが協力してKaggleのコンペに挑戦する事例も見受けられます。
データ分析を効率的に進めるために、定例会議をしたり、タスクの役割分担をしたり、勉強会を開催したりしています。
Kaggleでチームのデータ分析経験を積んでおけば、企業で働くときもデータ分析の現場にスムーズに溶け込めるでしょう。
見知らぬ外国人からメールでチームに誘われるなどして、グローバルなコミュニケーションスキルまで習得できるケースもあります。データサイエンティストとしてグローバル企業で働きたい方にも役立つ経験となるでしょう。
Kaggleの初心者向けコンペ一覧
Kaggleは初心者でもコンペに参加してデータサイエンススキルを習得できるというメリットがありました。ただ、Kaggleでは多種多様なコンペが開催されており、初心者だとどれに参加すればよいか迷ってしまうでしょう。
Kaggleを初めて利用する方に適した初心者向けコンペをいくつかピックアップしてみました。Kaggleに参加するコンペに迷ったときの参考にしてみてください。
タイタニック号の生存予測(Titanic - Machine Learning from Disaster)
Kaggleのプラットフォームの仕組みを理解するための最初のチャレンジとして、タイタニック号の生存予測という機械学習のコンペティションが用意されています。
コンペの内容はシンプルで、タイタニックの乗客データ(名前や年齢、チケットの価格など)を使用して、誰が生き残って誰が命を落とすかを予測します。
タイタニック号の生存予測のコンペでは、Kaggle向けのチュートリアルが用意されており、Kaggleでデータ分析をするときの基礎知識を学習できるのが便利です。
コンペへの参加方法やコンペデータの確認方法、コードの作成・実行方法、データの読み込み方法などが記されています。
Kaggleの使い方を理解するためにも、まずはタイタニック号生存予測のコンペに参加し、チュートリアルの内容を試してみましょう。
参照:
Titanic - Machine Learning from Disaster(Kaggle)
Titanic Tutorial in Japanese(Kaggle)
災害ツイートと非災害ツイートの分類(Natural Language Processing with Disaster Tweets)
災害ツイートと非災害ツイートの分類をテーマとしたコンペです。
10,000のツイートのデータセットを活用して災害ツイートと非災害ツイートを予測する機械学習モデルを構築します。
ちなみに同コンペは「Getting Started competitions」であり、機械学習の経験がほとんどない、あるいはまったくない方、データサイエンスの初心者などでも参加できます。
基本的な機械学習の概念を学びながらコミュニティの人々との出会いを作ることもできます。賞金はありませんが、競争のない方法でKaggleのプラットフォームに慣れたい方に最適です。
参照:Natural Language Processing with Disaster Tweets(Kaggle)
Kaggleの初心者が知っておきたい使い方の基本
Kaggleはデータ分析を学ぶのにとても便利なプラットフォームですが、海外サービスであるため、どうしても使い方がわかりづらいです。理解できずに挫折してしまう方も多いのではないでしょうか。ただ、うまくポイントを押さえれば、そこまで難しいプラットフォームではないことがわかってきます。
引き続き、Kaggleの利用ハードルを下げるために、初心者が知っておきたい使い方の基本を解説します。
登録
Kaggleの使い方を知るためにまずは登録方法をご紹介します。
Kaggleの登録方法は下記の通りです。
①Kaggleの公式ホームページにアクセスする
②サイト内の右上にあるRegister(登録する)を押す
③Googleアカウントあるいはメールアドレスで登録する
登録完了後はトップページで各種機能が利用できるようになります。
コンペ
メニュー画面の左側にあるCompetitionという項目を選ぶと、kaggleで開催されているコンペを確認できます。
コンペの検索欄もあり、気になるキーワードを入力して参加できるコンペを気軽に探せる仕組みです。
たとえば、今回紹介したタイタニック号の生存予測のコンペも「タイタニック」と入力すればすぐに見つかります。さまざまなキーワードを入力して参加してみたいコンペを見つけてみてください。
データセット
メニュー画面の左側にあるDatasetsという項目を選ぶと、データセットの共有機能を利用できます。アカウント保持者はデータセットの追加・公開ができるほか、ほかの人が公開したデータセットをダウンロードすることも可能です。
画面には「トレンドデータセット」「衣類とアクセサリー」「経済」など、ジャンルごとのデータセットが表示されており、選択するとデータセットの詳細ページ、ダウンロード画面を開けます。
コンペと同様に検索欄に気になるキーワードを入力して関連するデータセットを検索することも可能です。「地震」などと入力すれば、地震の発生源やマグニチュード、震度などを記録したデータセットが見つかります。
ちなみに、アカウントがなくてもデータセットをプレビューできます。
コード
メニュー画面の左側にあるCodeという項目を選び、「New Notebook」を押すと、クラウド上の実行環境で開発が行えます。
コンペで提供されたデータを分析・可視化して予測値を算出可能です。
なお、Kaggleではコンペでほかの参加者が構築したモデルやデータセット処理のコードが公開されています。
コードを自分の環境で書きながら1行ずつ理解していけば、データサイエンティストの考え方を習得しやすくなるでしょう。
Kaggleの初心者におすすめの勉強法
KaggleにはTitanic Tutorial in Japaneseのように、初心者向けのチュートリアルもありますが、英語で記載されており、自動翻訳で不自然な日本語も表示されます。チュートリアルがあってもハードルが高く感じる方もいるでしょう。
Kaggleをデータ分析の学習に活用するには、チュートリアルを始める以外にも押さえておきたい勉強法があります。続いて、kaggle初心者におすすめの勉強法をご紹介します。
書籍で学習
Kaggleのサービスは英語で提供されていますが、国内で出版された書籍であれば使い方を日本語で学べます。
入門書に関してはKaggleのチュートリアルを解説した本も多いです。チュートリアルの段階で挫折してしまった方でも、Kaggleのコンペに再チャレンジするきっかけを得られます。Pythonのコードとともに解説した本もあり、Kaggleを活用しながらデータ分析・機械学習について理解を深め、実際に課題を解決する過程を体感することも可能です。
Kaggleの使い方がわからない方、Kaggleをデータ分析の学習にうまく活かせない方などは、ひとまず書籍学習に取り組んでみるとよいでしょう。
学習コンテンツを利用
Kaggleには、初心者や中級者などが機械学習や機械学習ライブラリの使い方、深層学習などを学べるLearnという機能があります。
Learnでは、「Intro to Programming」「Python」「Intro to Machine Learning」「
Intro to SQL」などのさまざまなコースを無料で学べます。
実際にコードを実装しながら学べるので、アウトプット学習で効率的に知識やスキルを定着させられるでしょう。
ディスカッションに参加
Kaggleでは、Discussionという機能もあり、機械学習の知識を深めるのに役立ちます。
Discussionにはさまざまなフォーラムがあり、投稿される話題の幅が広いです。機械学習初心者に役立つ記事や学習リソースが共有されることも少なくありません。
機械学習を学んで実装していきながら、不明点について質問してみるとよいでしょう。Learnの機能を使って疑問が生じたときも質問できます。
さまざまなスキルを持つ方とやり取りすることで、データサイエンティストに必要な知識やスキルを自然に習得できるでしょう。
Kaggleの初心者におすすめの本
Kaggleの初心者におすすめの勉強法をお伝えしました。Kaggleの使い方を知ってデータ分析の学習に活かすために、どの書籍を読めばよいのか気になった方もいるでしょう。
Kaggleの初心者におすすめの本はおおよそ決まっています。ここでは、Kaggleの初心者におすすめの本をピックアップしてご紹介します。
実践Data Scienceシリーズ PythonではじめるKaggleスタートブック
Kaggleの優勝チームと専業Kagglerのコンビによる初学者向けの入門書です。
初学者向けチュートリアルの「Titanic:Machine Learning from Disaster」コンペを題材としてKaggleの基礎を学べます。自分だけでチュートリアルを進めるのが難しかった方にとって心強いでしょう。
チュートリアルの実践方法を知るだけでなく、次のコンペに挑戦できるようにすることを目的としています。対談形式でKaggleの魅力が随所で語られているほか、プログラミング(Python)初学者のためにサンプルコードが丁寧に解説されているのも特徴です。
Kaggleのメリットを具体的に知りたい方や、データサイエンティストを目指すために機械学習の勉強としてKaggleを始めたい方におすすめです。
実践Data Scienceシリーズ PythonではじめるKaggleスタートブック
Pythonで動かして学ぶ! Kaggleデータ分析入門
Kaggleに挑戦する流れやコンペの取り組み方などを説明している本です。
Kaggleの初心者向けチュートリアルに関して、分析の準備や結果の考察、精度を上げる過程をコードとともに解説しています。
データの取得や分析環境の起動、前処理、特徴量の生成、モデリングなどについて学べます。データサイエンス力向上のためのヒントが得られるよう、Kaggle Masterへの特別インタビューも掲載。
Kaggleを活用してデータ分析を学びたい学生・社会人の方は利用してみてはいかがでしょう。
Kaggleは意味ない?
Kaggleについてインターネットでリサーチすると、「Kaggle 意味ない」という検索ワードが表示されることがあります。ネガティブな言葉を目にして、Kaggleを勉強しようというモチベーションが下がってしまった方もいるかもしれません。
本記事は、データ分析のプロを認証する事業者の立場から解説していますが、あらためてKaggleはデータサイエンティストの仕事に就くために役立つと結論づけられます。
まず、データ分析の専門家として認められるには実務経験が重要です。弊社におけるデータ分析のプロを認証する事業でも、統計に関連する役職での少なくとも1年間の実務経験を条件としています。その点、Kaggleでは実際に社会課題に密接するコンペがあり、データ分析の実務に近い経験を積めます。
また、転職市場でもKaggleは評価されている傾向です。大手転職エージェントが公開する求人でもKaggleのコンペティション上位入賞経験が歓迎されているケースも見受けられます。Kaggleでデータ分析を学んで実績を作れば、将来的にキャリアアップの方向性が広がる可能性が高いです。
これから本格的にデータサイエンティストを目指すのであれば、なるべく早くKaggleを始めるのが望ましいといえるでしょう。
データ分析の専門家として認証される具体的な条件については下記のページをご覧ください。
Kaggleに関するよくあるQ&A
ここまでの説明でKaggleについておおよそ全体像がご理解いただけたのではないでしょうか。また、Kaggleについて知っていく中で細かい疑問が湧いてきた方もいるはずです。引き続き、Kaggleに関するよくある疑問についてQ&A形式で回答します。
Q1.Kagglerとはどういう意味?
A1.Kaggleに参加している方々をKagglerといいます。
中には、データサイエンスを本格的に学ぶために、貯金で生活しながらKaggleでメダル獲得を目指す方もおり、Kagglerの中でも専業Kagglerと呼ばれることがあります。
Kagglerを集めた対談記事なども企画されているので、Kagglerの実態を知りたい方は探してみるとよいでしょう。
Q2.Kaggleはコンペで1位を取らなくても賞金稼ぎができる?
A2.1位を取らなくても賞金稼ぎができます。
Kaggleではコンペの上位者に賞金を与えていますが、1位だけとは限りません。
たとえば、賞金総額を1位、2位、3位に振り分けるパターンがあります。
コンペによって賞金を獲得できる順位はさまざまで、賞金稼ぎができるのはおおよそ10位くらいまでといわれています。
まとめ
本記事では、Kaggleのメリットや使い方、勉強法などを解説しました。
Kaggleは、データ分析に関するコンペティションに参加できるプラットフォームであるとともに、機械学習を学ぶのに最適な機能が詰まった学習ツールでもあります。
市販の書籍でKaggleの使い方を学び、データ分析に関する学習コンテンツやディスカッション機能をうまく活用すれば、データサイエンティストに必要な知識やスキルを効率的に習得できるでしょう。
データ分析や機械学習を本格的に学んでデータサイエンティストを目指したい方は、ぜひKaggleをご自身の学習に組み込んでみてください。
なお、データサイエンティストを目指すうえでの実績作りには資格の取得も有効です。データサイエンティストに関する資格は下記の記事で紹介しているので、気になった資格があればぜひ取得を検討してみてください。
統計検定とは? メリットや難易度、勉強時間、データサイエンティストを目指すための学習方法などを解説!データサイエンティストの資格6選! 難易度や勉強時間、評価なども紹介- Kaggleとは? メリットや使い方、勉強法などを解説!【初心者向けのコンペ一覧も掲載】
- Kaggleとは?
- Kaggleのメリット
- メリット1.データサイエンスのスキルを習得できる
- メリット2.賞金稼ぎもできる
- メリット3.称号を獲得して実績にできる
- メリット4.チームでのデータ分析も経験できる
- Kaggleの初心者向けコンペ一覧
- タイタニック号の生存予測(Titanic - Machine Learning from Disaster)
- 災害ツイートと非災害ツイートの分類(Natural Language Processing with Disaster Tweets)
- Kaggleの初心者が知っておきたい使い方の基本
- 登録
- コンペ
- データセット
- コード
- Kaggleの初心者におすすめの勉強法
- 書籍で学習
- 学習コンテンツを利用
- ディスカッションに参加
- Kaggleの初心者におすすめの本
- 実践Data Scienceシリーズ PythonではじめるKaggleスタートブック
- Pythonで動かして学ぶ! Kaggleデータ分析入門
- Kaggleは意味ない?
- Kaggleに関するよくあるQ&A
- Q1.Kagglerとはどういう意味?
- Q2.Kaggleはコンペで1位を取らなくても賞金稼ぎができる?
- まとめ
- 関連記事・コンテンツ