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統計学とデータサイエンスの違いは? データサイエンティストを目指すときの必要性、勉強方法を解説!

統計学とデータサイエンスの違いは? データサイエンティストを目指すときの必要性、勉強方法を解説!

統計学とデータサイエンスの違いは? データサイエンティストを目指すときの必要性、勉強方法を解説!

データサイエンティストを目指すうえで、多くの方が気になるワードが統計学です。データサイエンスとは何が違うのか、データサイエンスとは別に学ぶ必要があるのか、さまざまな疑問が膨らみます。

統計学とデータサイエンスの関係がわかると、データサイエンティストを目指すときに自信を持って学習計画を立てやすくなります。

今回は、統計学とデータサイエンスの違いや、データサイエンティストを目指すうえで統計学が必要なのか解説します。統計学とデータサイエンスを効率的に学ぶ方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

統計学とデータサイエンスの違いは?

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統計学とデータサイエンスは、いずれもデータ分析に必要な学問であり、共通点も多いです。違いがよくわかりづらく、どちらを学ぶべきか、両方学んだほうがよいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。

まずは、統計学とデータサイエンスの違いがわかるように、それぞれの概要を解説します。

統計学の概要

統計学は、集団における個々の要素の分布を調べ、全体の傾向や性質を明らかにするための学問です。

「統べる」には、たくさんのものを一つにまとめる、よらせるという意味・定義があり、「計る」には、推測・推量する、調べて知るなどの意味・定義があります。

基本的には数学の計算でデータを処理し、さまざまなグラフや図などで分析します。

医学や天文学といった科学の研究、アンケート調査やテレビの視聴率、映画のランキングなどといった身近な調査などで活用されやすいです。

手段が主に数学であることから、学ぶ範囲は限定的であり、学習方針は立てやすいといえます。大学では工学部や理工学部、情報科学部などで学習可能です。

データサイエンスの概要

データサイエンスとは、意思決定を支援するために大量のデータから科学的アプローチで法則・関連性を導き出すための学問です。

サイエンスの定義は、一定の方法をもとに対象を組織的・系統的に研究・実験・調査することを意味します。一定の方法とは、先行研究のリサーチや、仮説の構築、解析、結果の整理、論文の執筆などが挙げられます。

科学技術の発展に伴い、アプローチ方法の幅はますます広がっており、数学だけでなく、プログラミングや機械学習、AI(人工知能)など、最新の手段で解析を行うのが一般的となりました。

Web業界や金融業界、ゲーム業界など、あらゆる業界におけるビジネス課題の解決に活用されています。

手段が幅広いため、学ぶ範囲も広範囲であり、計画的な学習が必要です。大学では主にデータサイエンス学部で学べます。

統計学とデータサイエンスの比較表

統計学とデータサイエンスの違いを比較表にまとめてみます。

統計学
データサイエンス
意味・定義
集団における個々の要素の分布を調べ、全体の傾向や性質を明らかにするための学問
意思決定を支援するために大量のデータから科学的アプローチで法則・関連性を導き出すための学問
手法
数学、グラフ、図の作成など
数学やプログラミング、機械学習、AI(人工知能)など
活用場面
科学の研究や身近な調査
あらゆる業界におけるビジネス課題の解決
学習範囲
限定的
広範囲
学べる学部
工学部、理工学部、情報科学部など
主にデータサイエンス学部

統計学とデータサイエンスの大きな違いはデータの活用手段です。統計学は数学やグラフ、図の作成などでデータを活用する一方で、データサイエンスでは数学だけでなくプログラミングやAI、機械学習などでもデータを活用します。

近年になって、データサイエンスがビジネスの場で需要が高まっているのは、最新テクノロジーの活用によって、統計学だけでは解決できない課題にも対応できるからなのでしょう。

統計学者とデータサイエンティストの違いは?

統計学とデータサイエンスの違いについて解説しました。言葉の意味を深く知ることで、これまで曖昧だった両者の違いが明確になってきたのではないでしょうか。

統計学とデータサイエンスの違いを知るには、関連する職種に目を向けるのも効果的です。続いて、統計学者とデータサイエンティストの概要についても学んでみましょう。

統計学者の概要

統計学者とは、統計学を研究して社会で実用化する専門家です。統計家とも呼ばれます。学術的な側面が強い肩書であり、研究者に近いイメージとして認知されています。

臨床統計や保険数理、市場調査などの分野で活躍しており、統計の専門知識を特定の分野に活かして社会貢献するのが一般的です。仕事内容は、試験実施計画書の作成や解析、数学的な証明、新しい統計手法の開発などがあげられます。

基本的に求人ではほとんど募集されることがない職種です。実際に転職エージェントサービスなどで検索するとわかるのですが、基本的に該当する求人が表示されません。

統計学者は一般的に大学の教授クラスになると名乗れる印象です。なお、統計家と検索すれば解析系の仕事が見つかりやすいかもしれません。

データサイエンティストの概要

データサイエンティストとは、データの収集・解析に関する仕組みを実装して運用する専門家です。

企業の業務プロセスを改革するDX推進において主要な職業として注目されています。

仕事内容は、データ基盤の開発やAI・機械学習の導入、新規解析手法の提案、分析支援、プロジェクト推進、コンサルティングなどです。統計学者のように数学に関する知識が必要なだけでなく、開発やDX推進に伴いプログラミングスキルやAIスキル、マネジメントスキル、コンサルスキルなども求められます。

仕事内容は多岐にわたり、統計学者と違って統計以外に幅広いスキルの習得が必要です。

データサイエンティストの仕事内容や必要なスキルなどについては下記の記事をご覧ください。

データサイエンティストの仕事内容を種類別に解説!仕事例や向いている人、やめとけ・つらいといわれる理由は?

統計学者とデータサイエンティストの比較表

統計学者とデータサイエンティストの違いを比較表にまとめてみます。

統計学者
データサイエンティスト
意味・定義
統計学を研究して社会で実用化する専門家
データの収集・解析に関する仕組みを実装して運用する専門家
仕事内容
試験実施計画書の作成や解析、数学的な証明、新しい統計手法の開発など
データ基盤の開発やAI・機械学習の導入、新規解析手法の提案、分析支援、プロジェクトの推進、コンサルなど
役割
アナリスト・研究者
エンジニア・アナリスト・研究者・コンサルタント
必要なスキル・知識
統計学、数学、解析対象の専門知識
数学、プログラミングスキル、AIスキル、マネジメントスキル、コンサルスキル
求人
ほとんどない
多い
就職・転職の難易度
極めて高い
やや高い

統計学者とデータサイエンティストの大きな違いは役割の種類です。統計学者は統計学や数学の活用をメインにアナリストや研究者などの役割をこなします。活躍の場がやや限定的な印象です。

その一方で、データサイエンティストは数学のほかにプログラミングやAIを活用するため、活躍の場が広い傾向にあります。アナリストや研究者以外に、エンジニアやITコンサルタントなどの役割もこなし、データ活用に関する「なんでも屋」「魔法使い」のような存在です。

統計学はデータサイエンティストに必要?

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統計学とデータサイエンスの違いについてお伝えしました。

統計学とデータサイエンスの違いがよくわかってきたのではないでしょうか。

違いを知るうちに、データサイエンティストを目指すのに統計学が必要なのか、気になった方もいるでしょう。

引き続き、統計学とデータサイエンスの関係に触れたうえで、統計学はデータサイエンティストに必要かどうかを解説します。

統計学はデータサイエンスの手段

統計学とデータサイエンスにはさまざまな違いがありましたが、それぞれ関係がないわけではありません。

データサイエンスは、データから科学的アプローチで法則・関連性を導き出しますが、科学的アプローチの範囲は広く、統計学も含まれます。

たとえば、統計学で確率の専門知識を学んでいれば、データから将来の予測を数学的な計算で分析できます。

つまり、統計学はデータサイエンスの手段であり、データサイエンスの基礎といっても過言ではありません。

もちろん、統計学を使わなくてもデータサイエンスにおけるデータ分析は可能ですが、最終的にデータ分析の幅は狭まるでしょう。

データサイエンティストに統計学は不可欠

結論として、データサイエンティストに統計学は不可欠です。

データサイエンティストには、ビッグデータのように人間では全体の把握が困難である巨大なデータ群の分析が求められます。

その点、統計学は全体の傾向や性質を明らかにするための学問であり、データサイエンティストがビッグデータを解析するときに役立ちます。

大量のデータは不確定性や誤差、ばらつきなどが伴い、ありのままのデータから有益な情報を得るのは難しいです。

その点、統計学は使える情報を引き出すのに欠かせない手段であり、データサイエンティストのデータ分析プロセスの解釈を助けてくれます。

このような背景もあってか、未経験を対象としたデータサイエンティストの求人では、研修カリキュラムに統計学の基礎が組み込まれるケースも珍しくありません。転職でも、統計学を用いたデータ分析の経験が求められることも多いです。

データサイエンティスト協会が実施するデータサイエンティスト検定でも、試験範囲の中で統計数理基礎や、統計的評価、統計情報への正しい理解などの項目を挙げています。

データサイエンティストを目指すのであれば必ず統計学を学びましょう。

参照:データサイエンティスト検定 リテラシーレベルとは(データサイエンティスト協会)

データサイエンスとともに統計学を効率的に勉強する方法

データサイエンティストには統計学が必須であることをお伝えしました。

ただ、統計学を学んだことがない方にとって、どうやって学習すればよいのかイメージが湧きにくいでしょう。また、データサイエンスと統計学を別々に学ぶのは難しそうに感じるかもしれません。

引き続き、データサイエンスとともに統計学を効率的に勉強する方法をご紹介します。

統計学とデータサイエンスを資格で学ぶ

統計学とデータサイエンスを学ぶのには資格の取得が最適です。

統計学とデータサイエンスは親和性の高い学問なので、1つの資格で両方を効率的に学べることがあります。たとえば、線形代数や推定、標準偏差、深層学習、音声認識などを学べます。

また、統計学に関する資格の取得は、データサイエンティストの就職や転職の応募要件となっているケースも多いです。

特に未経験では統計に関する知識を証明できるだけでなく、職種に対する志望度・本気度の高さを伝えられるので、離職を恐れる企業も採用しやすくなります。

統計学とデータサイエンスを本で学ぶ

統計学とデータサイエンスは関連する学問であることから、両方をまとめて解説している本も見つかりやすいです。

たとえば、データサイエンスの習得を目的とした統計学の入門書籍があります。データサイエンスの過程における統計学の必要項目がわかるので、データサイエンティストを目指すうえで学習の無駄を防げます。

また、データサイエンスに必要なプログラミング言語とともに統計学を学べる本もあります。統計学だけを学ぶ書籍よりも効率的にデータサイエンティストを目指しやすいです。

データサイエンティストを目指すのであれば、統計学とデータサイエンスを両方学べる本も検討してみましょう。

統計学とデータサイエンスを両方学べる資格

統計学とデータサイエンスは資格で学ぶのがおすすめであることをお伝えしました。

ただ、統計学とデータサイエンスの資格はたくさんあり、どの資格が統計学とデータサイエンスの両方を学べるのか、わかりづらいです。

両方学べる具体的な資格が知りたくなった方もいるでしょう。

統計学とデータサイエンスを両方学べる資格としては、統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)や、DS検定 リテラシーレベルが挙げられます。

引き続き、統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)と、DS検定 リテラシーレベルの概要をご紹介します。

統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)

統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)は、AI・デジタル社会に必要なデータサイエンス基礎力を証明できる資格試験です。

数学科と情報科における「データの分析」・「データの活用」の単元を中心に大学入試までの内容レベルを学べる試験となっているほか、社会人が身近な課題をデータ処理するのに必須の基礎を習得できます。

データ分析に必要な統計学の基礎としては、分散や標準偏差、相関係数、回帰分析などが試験範囲となっています。

データサイエンスと統計学の両方の知識を学びたい方に適しているでしょう。

DS基礎の次にはDS発展という上位資格もあります。DS発展では、データ分析や統計学に関する知識のほかに、プログラミング言語の知識も求められます。上位資格にも挑戦していけば、より高度なデータサイエンススキルを証明できるようになるはずです。

統計検定の種類は下記の記事で細かく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

DS検定 リテラシーレベル

DS検定 リテラシーレベルは、見習いレベルのデータサイエンティストに必要なデータサイエンス力・データエンジニアリング力、ビジネス力などを試す資格試験です。

ここでいうデータサイエンス力は、情報科学系の知恵を理解して使う力を意味しており、情報処理や人工知能とともに統計学を扱えるスキルをさします。

データサイエンス力に関連する試験範囲としては、統計数理基礎や因果推論、機械学習、映像認識など、統計やAIに関する内容が含まれています。

これから統計学を学んでデータサイエンティストを目指す大学生や専門学校生、社会人に適しています。

DS検定 リテラシーレベルの難易度や勉強時間などについては下記の記事でご確認ください。

統計学とデータサイエンスを両方学べる本

統計学とデータサイエンスを両方学べる資格をご紹介しました。資格だけでなく統計学とデータサイエンスを両方学べる本が気になっている方もいるでしょう。

引き続き、統計学とデータサイエンスを両方学べる本をご紹介します。

統計学×データ分析 基礎から体系的に学ぶデータサイエンティスト

データサイエンスに統計学が必要な理由とともに、体系的かつ実践的に統計学を学べる本です。

基礎統計量やグラフの読み取り、回帰分析、確率分布など、現場の具体的な事例をもとに統計学を学べます。プログラミングの基本や統計分析と機械学習の違いなどにも触れているので、データサイエンスについての理解も深まる内容です。

文系出身者や数値に苦手意識がある方でも読みやすいレベルなので、気軽に読んでみてはいかがでしょう。

統計学×データ分析 基礎から体系的に学ぶデータサイエンティスト

データサイエンスのための統計学入門 第2版 ―予測、分類、統計モデリング、統計的機械学習とR/Pythonプログラミング

データサイエンスにおける重要な統計学と機械学習に関する基本概念と関連用語をまとめて解説した本です。

最低限の数式やグラフ、R・Pythonといったプログラミング言語なども含んでおり、さまざまな角度から統計学とデータサイエンスを学べます。

統計学とデータサイエンスの実践的な考え方を効率的に学びたい方におすすめです。

データサイエンスのための統計学入門 第2版 ―予測、分類、統計モデリング、統計的機械学習とR/Pythonプログラミング

Pythonで学ぶあたらしい統計学の教科書

Pythonを活用して統計学の知識について基礎から学習できる本です。

Pythonの基礎をはじめ、確率の基礎や統計的仮説検定、一般化線形モデル、機械学習などについて解説しています。

文章・数式・Pythonコードの3段階の説明で深く理解できる構成です。

統計学の知識とともにPythonを用いた分析方法まで知りたい方に適しています。

Pythonで学ぶあたらしい統計学の教科書

統計学とデータサイエンスの学習に不安があれば専門家に相談

統計学とデータサイエンスを効率的に学ぶのには、資格取得や本がおすすめであることをお伝えしました。

ただ、統計学やデータサイエンスに関する資格はさまざまです。無駄な資格を取得すれば、貴重な時間やお金が無駄になるかもしれません。すでにご紹介した統計検定もかなりの種類があり、知識や経験によって受験すべき級も変わってきます。安易に受験すると後悔するリスクも高いです。

データサイエンティストになるために統計学とデータサイエンスを無駄なく学ぶのであれば、現役データサイエンティストからメンタリングを受けるのがおすすめです。

現役データサイエンティストであれば、個人の目標に応じて最適な資格を提案するだけでなく、資格の最短取得から就職・転職の実現まで導いてくれます。

ビッグデータラボではデータサイエンティストを目指す方にメンタリングプログラムを実施しており、一人ひとりの課題と目標に応じた学習カリキュラムを提案しています。無料相談を受け付けているので、統計学とデータサイエンスの学習につまずいた方や、統計学の資格取得に迷っている方などは、気軽に申し込んでみてください。

まとめ

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本記事では統計学とデータサイエンスの違いを中心に解説しました。

統計学は集団における個々の要素の分布を調べて全体の傾向や性質を明らかにする学問であり、データサイエンスは意思決定を支援するために大量のデータから科学的アプローチで法則・関連性を導き出すための学問でした。

統計学では主に確率など数学の知識が求められる一方で、データサイエンスでは数学のほかにプログラミングや機械学習、AIなどのスキルが求められます。

統計学はデータサイエンスの手段に含まれるため、データサイエンティストを目指すうえでも確実に習得が必要です。今回紹介した資格や本などを活用して、データサイエンスとまとめて効率的に学んでみましょう。

統計学とデータサイエンスの学習に迷いが生じたら必要に応じてデータサイエンティストにメンタリングを受けることも検討してみてください。

データサイエンティストになるために機械学習やAIを学ぶのであればG検定も検討できます。試験範囲にはAIに必要な数理・統計知識も含まれています。

G検定の詳細は下記の記事でご覧ください。

G検定とは? AIエンジニアに関するメリットや難易度、勉強時間、学習方法などを解説!