AIの勉強は初心者の社会人でも間に合う?何から始めるか迷うときのロードマップ、学習方法を公開!
ビジネスでAIの有用性が注目される現代において、就職・転職に向けてAIを勉強したい方も多いでしょう。ただ、AIは専門的で未経験から学べるのか不安に思う方もいるはずです。今回は、初心者の社会人でもAIを学べるのか結論を出したあと、何から始めるか迷うときのロードマップ、勉強方法をまとめてご紹介します。これからAIを勉強しようとしている方はぜひ本記事をヒントにしてみてください。
AIの勉強は初心者の社会人でも遅くない?
AIは日本語で人工知能を意味する言葉であり、人間の認識や推論といった知的活動をコンピューターに実行させるテクノロジーをさします。英語でArtificial Intelligenceと表記されます。
AIによる画像認識によってがんを早期発見したり、生徒の学力に応じた教育カリキュラムをAIで自動生成したりすることが可能です。
人工知能と聞くと専門的で難しく感じるかもしれません。ですが、自分に適した勉強方法さえ見つかれば、AI初心者の社会人でも基礎を習得して就職・転職に活かせる可能性があります。
実際に、文系学部出身でAIの知識がない方がAI職に就けたケースや、Excelが得意というレベルのIT知識で異業種からAI職に就けたケースなども見受けられます。
未経験だからあきらめるのはもったいありません。一つでも多くの勉強法を知り、相性のよい方法を試してAIを学んでみましょう。
AIの勉強に必要な学習内容
AIを学ぶには、類似概念や分析、開発に必要な手段などの理解も不可欠です。
まずは、AIの勉強に必要な学習内容として、機械学習やPython、数学、統計学などについて解説します。
機械学習
機械学習は、コンピューターに膨大なデータをインプットして、ルールやパターン、法則などを発見させるデータ分析方法です。英語でmachine learningと表記されます。
AIが人間のように高度な判断を下せるのは機械学習のおかげです。機械学習を学べばAIシステム・ツールの開発プロセス、データ分析の手法をより深く理解できるでしょう。
機械学習の意味・定義、勉強方法について知りたい方は下記の記事をチェックしてみてください。
データサイエンティストに必要な機械学習とは? 意味・定義、深層学習との違い、勉強方法まで解説!
Python
Python(パイソン)とは、AI開発やデータ分析に活用される汎用プログラミング言語です。
人工知能や機械学習の開発に役立つライブラリが豊富であり、AI開発のコーディング効率を高めるのに重宝します。
文法がシンプルで初心者向けのプログラミング言語です。データサイエンティストやAIエンジニアを目指すための勉強であればPythonを検討するとよいでしょう。
Pythonの学習方法やほかの言語とどちらを学ぶべきか迷う方は下記の記事を参考にしてみてください。
データサイエンティストに必要なPythonとは?学習方法やR・SQLとどっちを学ぶべきかを解説!
数学・統計学
AIを勉強するには機械学習の知識が必要ですが、機械学習を学ぶには数学や統計学の知識も必要になります。
たとえば、機械学習モデルの最適化やトレーニングでは微分積分の知識が必要です。大規模なデータ処理をするときには行列演算の知識も必要になります。
また、機械学習のアルゴリズムの多くは、確率論や統計的推論といった統計学の考え方に基づいています。数学や統計学を学んでおくと、AI・機械学習の勉強も効率的に進められるでしょう。
統計学の概要や勉強方法について知りたい方は下記の記事をお読みください。
統計学とデータサイエンスの違いは? データサイエンティストを目指すときの必要性、勉強方法を解説!
AIを勉強すると目指せる職業
目的意識がないとAIを学ぶ意味がわからなくなり、学習効果が大幅に下がります。
その点、AI職に就くことを目的に定めると、学ぶべきことがはっきりするため、知識・スキルの習得スピードもアップします。憧れの職業を目指すことで、AIを学ぶモチベーションもアップするはずです。
引き続き、AIを勉強すると目指せる職業をご紹介します。
AIエンジニア
AIエンジニアとは、AIを用いたサービス、ツール、システムなどを企画・開発する職業です。
たとえば、AIの精度向上に不可欠な教師データ(AIの学習に使われるデータ)を作成する仕事や、自動運転システムにおけるAIモデルの構築などです。
外観検査や異音検査、文書の検索など、さまざまなAIプロジェクトに参画します。求人ではPythonを用いた開発経験が求められることが多いです。
正社員の平均年収は500万円程度といわれており、日本の平均年収と比較して高い傾向にあります。年収を高めたい方であればAI職を目指す価値は高いでしょう。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、データの収集・処理・分析によって社会や企業、ビジネスの生産性を高める職業です。
データサイエンティストの分析手段は多岐にわたります。統計学者と違って、数学や統計学だけでなく、すでにお伝えした機械学習やPythonなども駆使してAIによる分析を行います。
数学や統計学だけでもデータ分析は行えますが、AIを学ぶことでさらにデータサイエンティストとしてデータ分析の幅を広げられます。
データサイエンティストの仕事内容やデータサイエンスと統計学の違いなどを知りたい方は下記の記事をぜひお読みください。
データサイエンティストとは? 仕事内容や必要なスキル、平均年収、将来性、需要などを簡単に解説!
統計学とデータサイエンスの違いは? データサイエンティストを目指すときの必要性、勉強方法を解説!
AIを勉強するときは何から学ぶ?働き方別のロードマップ
AIを勉強するときにはさまざまな関連分野も理解する必要がありました。何から学べばよいのか迷ってしまった方もいたのではないでしょうか。
AIの勉強は学ぶ分野の順番を意識すると学習効率が高まります。AIを勉強するときに何から学ぶべきか迷ったときは下記のロードマップを参考にしてみてください。
段階 | 研究者タイプ | エンジニアタイプ | アナリストタイプ | コンサルタントタイプ |
ステップ1 | AIの定義や意味、機械学習・深層学習との関連などを学ぶ | |||
ステップ2 | 数学や統計学、Python、機械学習・深層学習の基礎知識などを習得する | ビジネスにおけるAIの活用方法、具体的な事例、簡単なデータ集計、可視化などを学ぶ | ||
ステップ3 | 文献の探し方や論文の読み方、論文内容の再現実装を学び、AIに関する研究を進めて論文を執筆する | AIを取り入れたアプリ、ツール、システムを開発する | データからAIを用いた最適な分析方法を選んで分析して課題解決に役立つ知見を導く | 仕事や業務、実社会の課題についてAIによる解決案を企画して他者に提案できるようにする |
AIに関する働き方によって、学ぶべき内容が変わってきます。何から勉強すべきか迷った方は、ひとまず自分が目指す働き方のタイプを考えてみましょう。
いずれの働き方についてもまずはAIの概要を知ることから始めます。そして働き方によって必要となる手段を学び、研究や開発、分析、課題解決を実践して訓練する流れです。
働き方のタイプを決められない場合は、データサイエンティストを目指すのがおすすめです。データサイエンティストは上記に挙げたすべてのタイプのキャリア形成が可能です。
研究者タイプ・エンジニアタイプ・アナリストタイプ・コンサルタントタイプの働き方について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
AIの勉強方法【初心者の社会人向け】
AIを勉強するときの流れがイメージできたのではないでしょうか。
ただ、初めてAIを勉強する方であれば、具体的にどうやって学べばよいのか、見当がつかない方もいるでしょう。
実は、AIの勉強の仕方はたくさんあり、初心者の社会人でも自分に適した手段を見つければ、効率的に学習できます。
初心者の社会人におすすめしたいAIの勉強方法は下記の通りです。
・本を読む
・プログラミングスクールを利用する
・講座を受講する
・AIコンペに参加する
・開発環境を用意する
・AI資格に挑戦する
・サイトを閲覧する
・YouTubeを視聴する
それぞれの勉強方法について解説します。
本を読む
パソコンがなくてもAIを学べる方法が本です。AIの定義や得意分野・苦手分野、機械学習、画像認識など、AIに必要な知識を網羅的に学べます。
具体的な本の例は下記の通りです。
本 | 概要 |
AIエンジニアが理解すべき各手法のアルゴリズムを解説。機械学習の概要と分類もわかる。 | |
やさしい文章とイラストによってAIの基本を解説。数式や専門用語が苦手な人でも読みやすい。 | |
データ×AI人材を目指す方に向けて、データサイエンティストや機械学習エンジニアなどの職種、仕事内容、必要なスキルなどを解説。 |
本を持ち歩くのが不便という方は、電子書籍がおすすめです。スマホやタブレットなどで読めるので、通勤中の時間を無駄にせずAIを学べます。
AIを使う仕事について知りたい方は、AIエンジニアやデータサイエンティストの職業を学べる本もおすすめです。AIエンジニアやデータサイエンティストに求められる能力や業務内容を知ることで、特に学ぶべきAIの知識が明確になるでしょう。
プログラミングスクールを利用する
最近では、プログラミングと一緒にAIや機械学習などをまとめて勉強できるプログラミングスクールが登場しています。
AIが学べるプログラミングスクールの例は下記の通りです。
プログラミングスクール | コース | 概要 |
テックアカデミー | AIコース | Pythonのライブラリを用いて機械学習の応用までを勉強。手書き数字の画像認識を体験できる。 |
SAMURAIエンジニア | AIデータサイエンスコース | Pythonの書き方や、DjangoによるAIアプリ開発、Google Colaboratory、Kaggleの利用方法などを学べる。 |
DMM WEBCAMP | 専門技術コース | Python、AIを勉強するとともにチーム開発まで経験。キャリアアドバイザーから求人紹介も受けられる。 |
プログラミングスクールは、プログラミングでつまずいても質問できるのが安心です。ただ、費用が高くなってしまいがちなので、受講する場合は給付金の利用も検討しましょう。
給付金の詳細については下記の記事が参考になります。
データサイエンティストの講座5選! 比較基準や給付金の条件も紹介
講座を受講する
AIの勉強方法としてはプログラミングスクール以外に講座もおすすめです。
AIエンジニアやデータサイエンティストを目指すのに必要な基礎から実践まで、充実したカリキュラム、手段で体系的に学べます。
動画学習やエンジニアへの質問、講師による個別レッスン、コードレビュー、オリジナルアプリ制作のサポートなど、独学では受けられない学習支援を受けられるのが魅力です。
講座の例は下記の通りです。
運営会社 | 講座名 | 内容 |
株式会社Present Square | ゼロから始めるAIエンジニア講座 | AIの知識ゼロからPythonや数学、統計学を学びAI資格の取得まで目指す。 |
INTLOOP株式会社 | AIエンジニア初学者コース | AIエンジニアに必須の理論と実装スキルを最短で習得できるオンライン完結型。 |
株式会社アガルート | AI人材コース 個別指導プラン | AI・データサイエンス、機械学習の実践力を高める40時間の動画が見放題。 |
運営会社によって講座のカリキュラムが大きく変わるので、自分にあった内容を探してみてください。
AIコンペに参加する
AIコンペとは、AIや機械学習、Pythonなどの知見を活かしたデータ分析で予測精度を競う競技です。
データの確認、基礎分析、加工、モデル作成、特徴量の生成、モデル改良などを含めて、AIによるデータ分析の実践を経験できます。中には賞金が発生するコンペや、就職・案件に直結するコンペなども開催されており、実績を出すことができれば、収益の発生や仕事の獲得にもつながります。
賞金が発生するコンペや就職・案件に直結するコンペを探せるプラットフォームとしてはKaggleやSIGNATEなどが挙げられます。
プラットフォーム | 概要 |
Kaggle | 世界中の企業、組織とデータ分析人材をマッチングするデータ分析プラットフォーム。サイトは英語表記。 |
SIGNATE | 国内でトップクラスの知名度を誇るデータ分析プラットフォーム。サイトは日本語表記。 |
いずれも認知度が高く、データ分析を実践するプラットフォームとして最適です。英語が苦手でKaggleは利用しづらいようであれば、日本企業が運営するSIGNATEの利用を検討してみるとよいでしょう。
各プラットフォームの詳細を知りたい方は下記の記事もご覧ください。
Kaggleとは? メリットや使い方、勉強法などを解説!【初心者向けのコンペ一覧も掲載】
SIGNATEとは?始め方や勉強方法、Kaggleとの違いがわかる比較情報を解説!
開発環境を用意する
AIを学習するときにはPythonを学ぶ必要もありました。Pythonを勉強するときは本を読むだけのインプット学習ではスキルが定着しにくいです。
プログラミングは、プログラムを実行して結果を確かめて、想定した処理が得られるよう、改善を繰り返す中で体得できます。実際に開発環境を用意してコーディングを練習するのが上達の近道です。
開発環境の例としてはGoogle ColaboratoryやDockerなどが挙げられます。
開発環境 | 概要 |
Google Colaboratory | ブラウザ上でPython を記述して実行できる。インストールや環境構築が不要。 |
Docker | コンピューター上にコンテナと呼ばれる箱を用意してPythonの環境を構築できる。インストールや環境構築が必要。 |
特におすすめなのがGoogle Colaboratoryです。Googleアカウントを登録するだけで利用できるので、迷ったら早い段階から準備してコーディングに取り組むとよいでしょう。
Dockerはインストールや環境構築が必要になる点で、コーディング初心者だと理解をするのに時間がかかる印象です。
Dockerのメリットやインストール方法、環境構築などを簡単に知りたい方は下記の記事をチェックしてみてください。
Dockerとは?メリットやインストール方法、環境構築などを入門レベルでわかりやすく解説!
AI資格に挑戦する
さまざまな事業者がAIを学ぶのに適した初心者向けのAI資格試験を実施しています。
AI資格の例は下記の通りです。
資格 | 概要 |
G検定 | AIやディープラーニングの活用方法を幅広く学べる。AIに必要な数理・統計知識も出題。 |
AI実装検定 B級 | 初心者がAIの概要を直感的に理解するための資格。機械学習の基本概念がわかる。 |
DS検定リテラシーレベル | 人工知能を理解して使えるデータサイエンス力を習得できる資格。AI利活用スキルに対応した問題が追加された。 |
AI資格を取得すれば、AIを勉強したことを証明できるため、AIエンジニアやデータサイエンティストなどの求人に応募しやすくなります。
ほかにどのようなAI資格があるのか知りたい方、各種試験の勉強方法を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
AI資格は就職・転職で役立つ?選び方やおすすめの資格9選を紹介!
G検定とは? AIエンジニアに関するメリットや難易度、勉強時間、学習方法などを解説!
DS検定(リテラシーレベル)とは? 難易度や勉強時間、G検定とどちらを受けるべきかを解説!【テキスト紹介あり】
サイトを閲覧する
AIや機械学習、Python、数学などについてわかりやすく解説したWebサイトもたくさん存在しており、スマートフォンがあれば時間と場所を問わず気軽に閲覧できます。無料にもかかわらず情報が充実しているページも多い印象です。
参考書はお金がかかって購入に踏み切れない場合もありますが、無料のWebサイトであればAIに興味を持った時点から瞬発的に勉強を始められるのが便利です。
AIを学べるサイトの例は下記の通りです。
サイト | 概要 |
キカガク | 人工知能・機械学習・ディープラーニングなどの知識をイラストや図などを交えて解説したWebサイトを無料で公開。 |
AI Academy | 花の種類を判定する分類問題を通じて機械学習プログラミングの一連の流れを学べるWebページを無料で公開。 |
Chainer | Pythonや機械学習に使われる数学、確率・統計の基礎、ニューラルネットワークなど、AIに関連する幅広いテーマを学べるWebページを無料で公開。 |
最近はアカウントを開設するだけでブログを気軽に投稿できる時代となり、AIの勉強過程をブログで公開する方もいます。
ブログも無料で閲覧できるので、自分と似た境遇でAIを学ぶ方を探してみるのもおすすめです。
YouTubeを視聴する
Webサイトと同様に、スマートフォンから気軽に無料学習できるのがYouTubeです。
講師が黒板やスライド資料を用いて解説する授業形式の動画などがあり、テキストや静止画だけのWebサイトよりも理解しやすい傾向にあります。
AIを学べるYouTubeチャンネルの例は下記の通りです。
チャンネル | 概要 |
体験から体系を。Study-AI | 中学生から分かるAI入門講座や中学生から分かるAI数学など、プログラミングや数学の知識がない方でも基礎からAIを学べる動画を公開。 |
予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」 | 大学レベル、受験レベルの理系科目をわかりやすく解説しており、機械学習や深層学習、確率、統計などの解説動画も公開。 |
YouTube動画であれば、期限に迫られず何度も繰り返し視聴して、AIの知識を定着させられます。再生スピードを上げることもできるので、時間が限られている方でも効率的にAIについて勉強できるでしょう。
AIの勉強に迷ったらメンターに相談
AIの勉強方法をさまざまな観点からご紹介しました。AIを学ぶ方法はたくさんあり、迷ってしまった方もいるかもしれません。
書籍やWebサイト、YouTube、資格など、独学で就職、転職できるとコストを抑えられますが、AIは学ぶことが多く人によって学習につまずいてしまいます。
プログラミングスクールや講座といった勉強方法もありましたが、必ずしも仕事を獲得できるとは限りません。
お金と時間を無駄にしないためには、自分に最適な勉強方法を見極めることが重要なのですが、AIの実務を経験していない方だと判断が難しいです。
少しでもAIの勉強方法に不安があれば、実務経験者からアドバイスをもらうとよいでしょう。
ビッグデータラボのメンタリングプログラムでは、AIやデータサイエンス、統計学、Pythonなどに詳しいデータサイエンティストから直接指導を受けられます。
現在の学習状況をヒアリングしたうえで、最短でAI職に就くための学習をサポートします。
無料相談を受け付けているので、AIの勉強方法に不安がある方や、取得すべきAI資格に迷っている方、AI職を諦めそうになっている方などは、ぜひお気軽にビッグデータラボまでお問い合わせください。
まとめ
本記事では、本や資格、サイト、YouTubeなど、初心者の社会人が検討できるAIの勉強方法をご紹介しました。
自分に適した方法で勉強すれば、AIの知識・スキルを効率的に取得できます。未経験からAI職に就くことも不可能ではないでしょう。
ただ、AIの勉強では機械学習や数学、統計学、Pythonなども学びます。難解な概念や開発環境の構築につまずく方もいるでしょう。
考えてもわからないことに固執すると、時間を無駄にするだけでなく、自信を失うリスクも高まります。AIを最短ルートで勉強するなら、必要に応じてメンターのアドバイスも参考にしてみてください。