統計検定とは? メリットや難易度、勉強時間、データサイエンティストを目指すための学習方法などを解説!
データサイエンティストの関連資格として代表的なものが統計検定です。しかし、統計検定にはたくさんの種類があり、難易度や必要な勉強時間も異なります。データサイエンティストを目指すうえで、そもそも統計検定を受験すべきか、また受験を目指すにしても、どの検定を受験したらよいのか迷う部分ではないでしょうか。
今回は、データ分析の認定資格発行事業者の立場から、統計検定の概要をおさらいしつつ、種類ごとに難易度や勉強時間などの基本情報をまとめ、データサイエンティストを目指すのに適した資格を判別します。ご自身の状況にマッチする資格があれば取得を目指してみてください。
統計検定とは?
統計検定とは、統計の知識や活用力を評価する試験です。一般財団法人統計質保証推進協会が実施しています。
統計検定は下記の10種類の試験が開催されています。
・統計検定4級
・統計検定3級
・統計検定2級
・統計検定準1級
・統計検定1級
・統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)
・統計検定データサイエンス発展(DS発展)
・統計検定データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
・統計検定統計調査士
・統計検定専門統計調査士
各試験では目標水準が定められていますが、受験資格は特に定められていないため、初級レベルの資格を受験せず、上級レベルの資格から受験することも可能です。
年齢・所属・経験に関する制限もなく、学生や社会人、文系出身者など、立場を問わず受験できます。試験方法は、PBT方式(Paper Based Testing:紙の問題用紙と解答用紙で受験)と、CBT方式(Computer Based Testing:パソコンで受験)の2種類です。
データサイエンティストを目指すために統計検定を受験するメリット
統計検定はデータサイエンティストになるための必須資格ではありません。データサイエンティストを目指すうえでそもそも統計検定を受けるメリットがあるのか、気になる方もいるでしょう。
データサイエンティストになるには統計学が必須スキルとなっています。データサイエンティスト協会では必要なスキルとしてデータサイエンス力を掲げており、具体的に統計学の知恵を理解して活用できる力も重視しています。
したがって、統計学をメインで学べる統計検定の資格は、データサイエンティストとしての素養を対外的に証明できる武器であり、データサイエンティストの就職や転職活動を有利に進められる可能性が高いです。データサイエンティストのキャリアをスタートするために受験を検討しない手はないでしょう。
参照:2023年度スキル定義委員会活動報告 p4(一般社団法人 データサイエンティスト協会)
データサイエンティストの仕事内容や必要なスキルの詳細について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
データサイエンティストとは? 仕事内容や必要なスキル、平均年収、将来性、需要などを簡単に解説!
統計検定4級
引き続き、データサイエンティストを目指すのに必要な資格がわかるよう、各種統計検定の概要をまとめてご紹介します。まずは統計検定4級からです。
統計検定4級は、初心者に求められる統計学の知識習得度と活用理解度を評価するための難易度が低い資格試験です。
資格取得を通して、身の回りの課題についてグラフ・表を活用して情報整理できるスキルや、確率を用いて不確定な事象の起こりやすさを説明できるスキルなどを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(4~5肢選択) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 約30問 |
試験時間 | 60分 |
難易度 | 初心者に求められる入門レベル |
数学のレベル | 中学・高校数学レベル |
勉強時間 | 5~20時間程度 |
受験料 | 一般価格:5,000円(税込)
学割価格:3,500円(税込) |
合格判定 | 100点満点中60点以上 |
合格率(2023年) | 81.8% |
対象者・おすすめの人
統計検定4級は、統計検定の中で最も難易度が低いといわれる資格です。必要な勉強時間は少なく、合格率も極めて高くなっています。
データの読み方が中心となっており、中学・高校数学の知識があれば解けるレベルとなっています。具体的には食べ物の好みに関する表から割合を選択式で答えさせる問題が出題されました。
複雑な数式をあてはめて解くような問題も少なく、暗記で対応できる問題も多いです。数学に苦手意識がある方も受験しやすいでしょう。
データサイエンティストを目指すか迷っている高校生や文系の学生、文系出身の社会人などにおすすめです。
統計検定3級
統計検定3級は、大学で求められる基礎レベルの統計学の知識習得度と活用理解度を評価する適度な難易度の資格試験です。
資格取得を通して、基本的な統計グラフ(1変数・2変数)を自分で書くスキルや、平均・分散・標準偏差を用いて確率分布の特徴を考察するスキルなどを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(4~5肢選択) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 約30問 |
試験時間 | 60分 |
難易度 | 大学で求められる基礎レベル |
数学のレベル | 高校数学レベル |
勉強時間 | 10~30時間程度 |
受験料 | 一般価格:6,000円(税込)
学割価格:4,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中65点以上 |
合格率(2023年) | 53.9% |
対象者・おすすめの人
統計検定3級は、大学で求められる基礎レベルの統計学の知識が求められますが、統計検定の中で2番目に難易度が低い初心者向けの資格です。
4級よりも合格率が下がるため、データサイエンティストの求人では3級から歓迎資格として掲げられることがあります。データサイエンティストを目指すとき、初級資格で統計知識を客観的に証明したい方に最適です。
数学に関しては、2つのサイコロをふったとき出た目の和が〇以上になる確率を回答させる問題が出題されました。高校数学レベルの問題も出題されるため、高校で数学が得意だった方であれば十分戦えるでしょう。
統計検定2級
統計検定2級は、大学で求められる基礎レベルの統計学の知識習得度と活用理解度を試すやや難易度が高い資格試験です。
資格取得を通して、問題を発見するスキルや解決のためのデータ収集スキル、仮説の構築と検証を行える統計スキル、新知見獲得の契機を見出せるスキルなどを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(4~5肢選択) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 約35問 |
試験時間 | 90分 |
難易度 | 大学で求められる基礎レベル |
数学のレベル | 大学数学で求められる基礎レベル |
勉強時間 | 50~60時間程度 |
受験料 | 一般価格:7,000円(税込)
学割価格:5,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中60点以上 |
合格率(2023年) | 49.1% |
対象者・おすすめの人
統計検定2級は、統計的問題解決力に焦点が当てられており、一般的に仕事で使える見習いレベルの資格として認知されています。
統計検定3級よりもデータサイエンティストの求人で掲載される機会が多くなるため、就職・転職で応募できる会社を増やしたい学生や社会人におすすめです。
帰無仮説の検定に関する確率を計算させる問題が出題されました。統計用語と確率の計算を組み合わせた複合問題です。数学が苦手な方にとっては3級よりも難易度が高く感じるでしょう。
統計検定準1級
統計検定準1級は、2級までの基礎知識をふまえて実社会のさまざまな問題に対して適切な統計学の手法を応用できるスキルを試す高難度の資格試験です。
資格試験を通して、適切なデータ収集法を計画・立案できるスキル、問題に応じて統計的手法を適用できるスキル、結果を正しく解釈するスキルなどを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(5肢選択、数値入力) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 25~30問 |
試験時間 | 90分 |
難易度 | 大学で求められる応用レベル |
数学のレベル | 大学数学で求められる応用レベル |
勉強時間 | 300時間程度 |
受験料 | 一般価格:8,000円(税込)
学割価格:6,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中60点以上 |
合格率(2023年) | 35.3% |
対象者・おすすめの人
統計検定準1級では、統計検定2級よりもデータ分析に必要な広範囲の知識を求められます。
ガウス・マルコフの定理や、最尤推定量の漸近正規性、ワルド型検定、同時確率関数、ガンマ分布など学習すべき用語が細かいです。
分析業務の幅が広がり、適切な手法を選択できるようになるため、分析スキルを磨いて実務に役立てたいデータサイエンティストの方に適しています。
独り立ちレベルの資格で、データ分析の実務経験があっても不合格になる方も見受けられるので、未経験の学生や社会人の方が受験するのには不向きでしょう。
統計検定1級
統計検定1級は、準1級までの知識をさらに発展させ、実社会におけるさまざまな分野のデータ解析ニーズに応えるための基本能力を試す最難関の資格試験です。
資格取得を通して、各専門分野における研究課題を定式化するスキル、コンピューターを用いてシミュレーションできるスキル、代表的な分布に関する検定スキル、結果を正しく解釈してコミュニケートするスキルなどを習得できます。
なお統計検定1級は、統計数理と統計応用という2つの試験で成り立っています。1級に合格するには両方の合格が必要です。
基本情報
試験方式 | PBT方式(論述、各試験会場で受験) |
試験日程 | 11月(年1回) |
出題数 | 統計数理:5問から3問を選択
統計応用:4分野(人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学)から1分野を選択し、5問から3問を選択 |
試験時間 | 統計数理:90分(午前)
統計応用:90分(午後) |
難易度 | 定量的なデータ解析に深くかかわる大学における専門分野修了レベル |
数学のレベル | 大学数学で求められる専門レベル |
勉強時間 | 300~400時間程度 |
受験料 | 統計数理:6,000円(税込)
統計応用:6,000円(税込) |
合格判定 | 統計数理と統計応用の両方に合格する必要がある |
合格率(2023年) | 非公開 |
対象者・おすすめの人
統計検定1級は統計検定準1級より難易度が高く、棟梁レベルの資格として位置づけされており、実務経験豊富な方々が多く受験する傾向です。
定量的なデータ解析に深くかかわるような大学での専門分野修了程度の実力が求められます。データ解析と関連が薄い大学の文系学生、文系出身の社会人、実務経験が少ない社会人などが受験するのにはハードルが高いです。
データサイエンティストの求人でも重宝される資格となっています。簡単には取得できないことから、大手企業の求人で必要資格として掲示されているケースもありました。ちなみに、ほぼ在宅で働ける求人です。
大手企業でデータサイエンティストとして活躍したい方、少しでも恵まれた環境で待遇のよい働き方をしたい方であれば、統計検定1級を目指してみる価値は高いでしょう。
なお、データサイエンティストとしての市場価値を高めるには、データ分析の専門家として認証登録を受ける方法もあります。将来的なキャリアアップの手段として押さえておくとよいでしょう。
統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)
統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)は、生徒・学生・一般を問わず、AI・デジタル社会の共通スキルであるデータサイエンスの基礎力を評価するための資格試験です。
資格取得を通して、簡単なデータの整理・整形をするスキル、パレート分析(ABC分析)を行えるスキル、単(重)回帰分析による予測モデルを構築するスキルなどを習得できます。ピボットテーブルやIf関数、グラフの作成など、Excelの操作スキルも習得可能です。
基本情報
試験方式 | CBT方式(Excelで処理した結果をもとに多肢選択、数値・文字入力) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 大問8題(大問1題当たり小問5問程度) |
試験時間 | 90分 |
難易度 | 統計検定2級よりやや易しい |
数学のレベル | 大学数学で求められる基礎レベル |
勉強時間 | 20~60時間 |
受験料 | 一般価格:7,000円(税込)
学割価格:5,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中60点以上 |
合格率(2023年) | 62.3% |
対象者・おすすめの人
統計検定データサイエンス基礎では、Excelによるデータ処理スキルが求められます。
不動産店舗の住宅を題材としたエクセルデータをもとに、住宅の平均価格を回答したり、作成すべき統計グラフの名称を回答したりする問題が出題されました。
仕事でのExcel経験を活かしてデータサイエンティストを目指したい方などが受験するのに適しています。
統計検定データサイエンス発展(DS発展)
統計検定データサイエンス発展は、データサイエンス基礎をふまえて倫理・AI、数理、情報、統計といったデータサイエンスに必要なスキルを評価するための資格試験です。
資格取得を通して、データ・AIの利活用におけるリスク回避スキル、データの読解・説明・処理スキル、アルゴリズムを理解したうえでのプログラミングスキルなどを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(多肢選択、数値入力) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 約30問 |
試験時間 | 60分 |
難易度 | 統計検定2級~準1級程度 |
数学のレベル | 大学数学で求められる基礎レベル |
勉強時間 | 60時間~80時間程度 |
受験料 | 一般価格:6,000円(税込)
学割価格:4,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中60点以上 |
合格率(2023年) | 64.6% |
対象者・おすすめの人
データサイエンス発展では、データ分析や統計学に関する知識だけでなく、Pythonというプログラミング言語に関する知識も求められます。
Pythonのソースコードを提示した問題も出題されており、プログラムを読み慣れていない方だと手こずるでしょう。
データサイエンス業務でプログラミングの活用が求められる方、すでにデータサイエンスを実践していて知識を補強したい方などが検討するのに適しています。
統計検定データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
統計検定データサイエンスエキスパートは、データサイエンス発展をふまえて大学専門レベルの高度なデータサイエンスに関する専門スキルを評価するための資格試験です。
資格取得を通して、データサイエンスに必要な統計や数学の知識はもちろん、プログラミング・データベースの専門スキルや、AIによる課題解決、AIの構築・運用スキルなども習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT(多肢選択、数値・文字入力) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 約40問 |
試験時間 | 90分 |
難易度 | 統計検定準1級程度 |
数学のレベル | 大学数学で求められる応用レベル |
勉強時間 | 340時間程度 |
受験料 | 一般価格:8,000円(税込)
学割価格:6,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中60点以上 |
合格率(2023年) | 30.0% |
対象者・おすすめの人
統計学の学習だけでは対処できないようなデータサイエンスの内容が出題されます。
たとえば、提示された教科成績のテーブルをもとに、教科の平均点を得るためのSQL文を選択させ、度数分布表を計算するソースコードを完成させる複合問題も出題されました。データベース言語やプログラミング言語を経験していない方にとっては不利になるでしょう。
準1級以下の試験で扱われる用語も出題されますが、全体的に表面的な理解だけで解ける問題は少ない傾向です。試験範囲が広いにもかかわらず、各テーマについて深い技能が求められます。
統計検定の中では最難関レベルの資格であり、データベース言語やプログラミングを縦横無尽に扱える高度なデータサイエンティストを目指したい方におすすめです。
統計検定 統計調査士
統計検定統計調査士は、統計検定3級程度の基礎知識に加えて、社会人に求められる公的統計の理解度・活用力を評価する資格試験です。
資格取得を通して、人口動態統計や就業構造基本統計といった公的統計を正しく見るスキル、統計データを活用するスキルなどを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(5肢選択) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 30問 |
試験時間 | 60分 |
難易度 | 統計検定3級レベル |
数学のレベル | 大学数学で求められる基礎レベル |
勉強時間 | 10~40時間 |
受験料 | 一般価格:7,000円(税込)
学割価格:5,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中70点以上 |
合格率(2023年) | 64.4% |
対象者・おすすめの人
統計検定の中でも初級者向けの資格なので、統計の概要を知りたい方におすすめです。統計の意義と役割、統計法規などからおさらいできるほか、統計調査員の役割や業務などを知ることもできます。
客観的に統計データの利活用能力を証明できるため、統計データを取り扱う職場や民間調査機関などに転職したい場合に役立ちます。
統計調査士の試験は公的統計に関する内容が多く、データサイエンティストに不要な知識も試される印象です。データサイエンティストを目指すうえで、公的統計に関する仕事につかない場合は、ほかの統計検定を取得したほうが効率的でしょう。
統計検定専門統計調査士
統計検定専門統計調査士は、統計検定2級合格レベルの専門知識に加え、社会・経済で広く利用される統計調査の企画や運営、実施、指導、高度なデータ利用業務に携わるための能力を評価する資格試験です。
資格取得を通して、調査企画や調査票作成、標本設計、調査指導、調査結果の集計・分析、データの利活用に関するスキルを習得できます。
基本情報
試験方式 | CBT方式(5肢選択) |
試験日程 | 任意 |
出題数 | 40問 |
試験時間 | 90分 |
難易度 | 統計検定2級合格レベル |
数学のレベル | 大学数学で求められる基礎レベル |
勉強時間 | 20時間~50時間程度 |
受験料 | 一般価格:10,000円(税込)
学割価格:8,000円(税込) |
合格判定 | 100点満点中65点以上 |
合格率(2023年) | 71.7% |
対象者・おすすめの人
統計検定専門統計調査士は、調査の品質の維持・向上に貢献できる人材であること、調査プロジェクトの実務能力を社内外に証明できる資格です。
組織にとって調査受託のアピールポイントになるため、職場での昇給や調査受託会社への転職を狙いたい方に適しているでしょう。
統計調査士の上位資格ですが、データ分析に特化した資格ではありません。たとえば、調査受託の手続きや調査票の様式、業務委託の留意点などまで学習範囲に含まれています。
データサイエンティストを目指したい場合は、ほかの統計検定を取得したほうが効率的でしょう。
統計検定を受けるのは意味ない? 社会的に評価される??
統計検定についてインターネットで検索すると、「統計検定 意味ない」などの言葉が表示されることがあります。統計検定は社会的に評価されていないのか気になり、受験すべきか迷ってしまう方もいるでしょう。
結論として、統計検定には転職で評価されない資格も一部存在しているため、意味ないというワードが表示されていると考えられます。
具体的に転職でほぼ評価されない資格が統計検定4級です。大手転職サイトで「統計検定4級」をフリーワード欄で検索すると、残念ながら3級以上と違ってほとんどヒットしません。おそらく合格率が8割以上であることから、取得できて当たり前だと思われているのでしょう。
ただ、あくまで統計検定4級は転職市場で評価されていないだけであって、データサイエンティストを目指すか迷っている方が、気軽に統計を学ぶのには最適な資格です。仮に評価されずとも、面接でデータ分析に興味があることを示す根拠にできます。未経験入社を狙う場合にも役立つかもしれません。
意味ないという言葉を見かけても、必要に思えれば受験を検討してみるとよいでしょう。
データサイエンティストを目指すのに適した統計検定の勉強方法
ここまでの各検定の概要をふまえると、実務経験がない学生・社会人が本格的にデータサイエンティストを目指すのであれば、統計検定3級・2級が適しています。Excelのデータ処理に慣れている学生・社会人であればDS基礎も候補となります。ここでは、統計検定3級・2級・DS基礎の基本的な勉強方法をご紹介します。
統計検定3級の勉強方法
統計検定3級には下記の公式テキストと公式問題集があるので、書籍を用意して学習しましょう。
・改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定3級対応 データの分析
・日本統計学会公式認定 統計検定3級・4級 公式問題集[CBT対応版]
数学は高校数学レベルが求められるので、高校で使用していた教科書や参考書も再利用して学ぶとよいでしょう。
隙間時間に学習したい方であれば「統計検定アプリ 3級(有料)」も利用できます。試験日までの残り日数や直近の学習状況、分野ごとの進捗率などを確認できるのも便利です。
統計検定2級の勉強方法
統計検定2級には下記の公式テキストと公式問題集があるので、書籍を用意して学習しましょう。
・改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎
・日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[CBT対応版]
統計Web 統計学の時間という勉強サイトの初級編や基礎編なども役立ちます。グラフや表などが豊富なほか、平易な表現で解説されているので、統計の難解な概念も理解しやすいでしょう。
統計検定データサイエンス基礎の勉強方法
統計検定データサイエンス基礎には、公式テキストや公式問題集がありません。現状では、統計検定2級の公式テキストを代用する方法などを検討します。
統計検定の公式サイトにはサンプル問題とExcelデータが掲載されており、ダウンロードできます。データのソートやVAR 関数など、試験で求められるExcel操作、関数名も試験範囲に掲載されています。
Excelの操作や関数の使い方はインターネットでもリサーチできるので、不明点を調べながら実際にデータ処理を練習しておくとよいでしょう。
統計検定の申し込み方法
統計検定の申し込み方法は統計検定1級(PBT方式)と統計検定1級以外(CBT方式)で異なります。それぞれの申し込み方法を簡単にまとめます。
統計検定1級の申し込み方法
統計検定1級は受付期間に申し込み専用サイトにアクセスして申し込みます。
決済方法はクレジットカード決済やWebコンビニ決済、PayPayオンライン決済から選択可能です。Webコンビニ決済の場合は、受付期間とは別に別途締切日が掲載されています。見落とさないように注意しましょう。
統計検定1級以外の申し込み方法
統計検定1級以外では、株式会社オデッセイ コミュニケーションズの申し込み専用サイトにアクセスして申し込みます。
希望するエリアの試験会場の日程を確認可能です。試験会場を検索して会場に直接申し込みます。なお、受験にあたって同社の無料アカウントについて事前登録も必要です。
まとめ
本記事では、統計検定の概要をおさらいしつつ、難易度や勉強時間、おすすめの人などを解説しました。
結論として、データサイエンティストになろうか迷っている方は統計検定4級、未経験から本格的にデータサイエンティストの就職や転職を目指す学生、社会人は統計検定3級・2級・DS基礎、データサイエンティストとしての市場価値を高めたい方は統計検定準1級・1級・DS発展・DSエキスパートがおすすめです。
統計調査士と専門統計調査士に関しては3級・2級合格レベル以上の難易度ですが、調査がメインでデータ分析に特化した資格ではありません。データサイエンティストを目指すのにはやや不向きです。
データサイエンティストのキャリアに必要な資格が定まったら、早速勉強をスタートしてみてください。
なお、今回はデータサイエンティストに関連する資格として統計検定をご紹介しましたが、ほかにも就職や転職、キャリアアップに役立つ資格もあります。
データサイエンティストに関連する資格は下記の記事でまとめているので、気になった方はぜひご一読ください。
データサイエンティストの資格6選! 難易度や勉強時間、評価なども紹介