AI・データ活用支援事業応用情報技術者試験とは?難易度や勉強時間、範囲、勉強方法などを解説!
応用情報技術者試験とは?難易度や勉強時間、範囲、勉強方法などを解説!

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最終更新 2025-05-03

応用情報技術者試験とは?難易度や勉強時間、範囲、勉強方法などを解説!

データサイエンティストや AI エンジニアなど、IT エンジニアのキャリア形成に役立つ試験が応用情報技術者試験です。

応用情報技術者試験に合格してキャリア形成を有利に進めたいと考えている方も多いでしょう。ただ、本当に必要な資格なのかが判断できず、受験に踏み切れない方もいるはずです。

そこで今回は、応用情報技術者試験の制度や全体像をわかりやすくまとめ、受験のメリット、難易度、必要な勉強時間、出題範囲、勉強方法などを徹底解説します。

基本情報技術者試験に未合格のままいきなり受験すべきか悩んでいる方や、合格後に次のステップとして検討している方などはぜひ参考にしてみてください。

応用情報技術者試験の概要

応用情報技術者試験(AP 試験)は、情報処理技術の幅広い知識と応用力を問う国家試験です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の一区分で、基本情報技術者試験の上位にあたる資格として知られています。以下に試験制度の全体像を表と箇条書きにまとめます。

区分 試験時間 出題形式 出題数 配点(満点) 合格基準点
午前試験 150 分(9:30 ~ 12:00) 多肢選択式(四肢択一) 80 問 100 点(各問 1.25 点) 60 点(48 問正解)
午後試験 150 分(13:00 ~ 15:30) 記述式(筆記回答) 11 問中 5 問解答※1 問目必須+選択 4 問 100 点(各問 20 点) 60 点(総得点の 60%)
  • 実施時期:年 2 回(例年 4 月第 3 日曜・10 月第 3 日曜)に全国の指定会場で実施。2025 年度は春期:4/20、秋期:10/12(予定)といった日程で行われます。
  • 受験資格:なし。年齢・学歴・実務経験などの制限なく誰でも受験可能。基本情報技術者試験(FE)に未合格でも直接受験できます。
  • 試験方式:紙の問題冊子とマークシートによる筆記試験(PBT 方式)。午前・午後とも同日に実施されます。
  • 合格基準:午前・午後試験それぞれ 100 点満点中 60 点以上(60%)。午前・午後の両方で基準点を満たして初めて合格となります。午前で基準未達の場合は午後は採点されません。
  • 合格発表:試験後約 2 か月後に IPA から合格者の受験番号が発表され、合格者には経済産業大臣名の合格証書が交付されます。

年齢や経験、学歴などの受験制限は一切ありません。IT エンジニアはもちろん、データサイエンティストや AI エンジニア志望者、他分野出身の社会人・学生まで、誰でもチャレンジ可能です。

応用情報技術者試験は春期(4 月)と秋期(10 月)の年 2 回、全国一斉に実施されます。試験は午前と午後の 2 部構成で 1 日で行われ、マークシート方式の午前試験と、記述式解答の午後試験があります。

応用情報技術者試験を受験するメリット

「応用情報を取ると就職や転職に有利?」といった点は、多くの受験検討者が気にするポイントです。結論から言えば、応用情報技術者試験に合格するメリットは大いにあります。主なメリットを 3 つに整理して解説します。

1. 就職・転職でアピール材料になる

応用情報技術者は高度な IT 知識・技能を備えていることを国に認定された証明となります。試験問題は IPA と業界の専門家が最新の技術動向を踏まえて作成する質の高い内容です。

合格により「IT エンジニアとして標準以上の知識と実務で通用する力」を持つことを示せます。基本情報試験よりワンランク上のレベルであることも客観的に示せるため、エンジニア志望者にとって履歴書上の大きなアピールポイントになります。

実際、採用担当者からの評価も高まりやすく、未経験から IT 業界への就職や、現職エンジニアの転職活動において有利に働く場面があります。特に SIer 企業や大手企業では、応用情報など情報処理技術者試験の資格保有者を評価するケースが多いです。

また企業によっては資格手当(毎月数千~ 1 万円程度)が支給されたり、昇進要件の一つになっていることもあります。応用情報合格はキャリアアップの足がかりとして有用です。

2. 幅広い IT 知識の習得とスキルアップ

応用情報技術者試験に向けた学習そのものが、エンジニアとしての大きなスキルアップにつながります。応用情報では、高度 IT 人材として身につけるべき知識・技能がシラバス(出題範囲)として体系的に網羅されています。

したがって、試験勉強を通じてコンピュータ基礎理論から開発手法、マネジメント、戦略や法務まで、IT 領域をまんべんなく学ぶことができます。特定分野に偏らない広範な知識習得は、将来 AI やデータサイエンスなど専門分野に進む際にも土台として役立ちます。

仮に一度で合格できなくても、合格を目指し計画的に勉強する過程自体がエンジニアとしての良い訓練になります。試験範囲に沿って自分の現在の知識レベルを客観評価し、弱点を補強することで、実務でも通用する総合力を養えます。また、応用情報に取り組むことで IT に関する自分の興味分野を発見できたという声もあります。例えば勉強を通じて「ネットワークが面白い」「プロジェクト管理に関心が湧いた」など、今後のキャリア方向性を見定めるきっかけにもなるでしょう。

3. 上位試験や他資格の科目免除が受けられる

応用情報技術者に合格すると、さらに上位の高度区分試験(レベル 4)に挑戦する際に有利な制度があります。

具体的には、合格後 2 年間、応用情報より上位の情報処理技術者試験(例:IT ストラテジスト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリストなど)や情報処理安全確保支援士試験を受験する際、「午前 Ⅰ 試験」の免除を申請できます。

午前 Ⅰ 試験は高度試験共通の基礎知識問題ですが、応用情報に合格していればこの部分を省略でき、勉強負担を減らせます。将来レベル 4 資格にステップアップしたい人にとって大きなメリットです。

さらに、応用情報合格者は他の国家試験の一部科目免除も受けられます。例えば以下のような例があります。

  • 中小企業診断士試験:一次試験「経営情報システム」科目の免除
  • 弁理士試験:選択科目「理工 V(情報)」の免除

これらは応用情報の知識が評価されている証拠です。情報処理技術者試験以外でも活用できる場面があるのは、国家資格としての信頼性の高さと言えるでしょう。

応用情報技術者試験の難易度

応用情報技術者試験の難易度は情報処理技術者試験の中では中程度とされ、決して易しくはありませんが、適切な対策で十分合格を狙えます。ここでは、応用情報技術者試験の難易度を考察します。

IT 職未経験の場合における難易度

IT 未経験者にとって応用情報技術者試験は決して易しい試験ではありません。幅広い試験範囲に加え、午後試験では実務に即した記述問題が出題されるため、ある程度の IT 知識を持っていないと厳しく感じる場合が多いです。

合格には約 500 時間程度の学習時間が必要とされており、基礎からじっくり取り組むことが求められます。ただし、実務経験がなくても体系立てた学習を重ねれば、十分合格は可能です。実際に文系出身や社会人未経験者の合格事例もあり、努力次第で突破できる試験です。

IT 職経験者の場合における難易度

IT 職としての実務経験がある場合は、出題範囲の一部が業務で得た知識と重なるため、相対的に難易度は下がります。とくにネットワークやデータベース、プロジェクトマネジメントなどの領域で実務経験があれば、理解の助けになります。

とはいえ試験は業務知識だけで通用する内容ではなく、広範な理論や最新動向、法律知識なども出題されます。したがって、経験がある人でも過去問演習やテキストでの学習は不可欠です。午前・午後ともバランスよく対策することで合格が見込めます。

IT パスポート試験と比較した難易度

IT パスポート試験は情報処理技術者試験の中でも最も基礎的な区分(レベル 1)であり、初学者向けの試験です。試験形式は選択式のみで、内容も企業活動や IT 基礎知識の理解が中心です。

一方、応用情報技術者試験はレベル 3 に位置付けられ、専門的かつ実践的な知識が求められます。午後試験は記述式で、より深い理解と応用力が問われるため、難易度は段違いに高いと言えます。IT パスポートと応用情報の間には明確な学習量・理解レベルの差があります。

基本情報技術者試験と比較した難易度

基本情報技術者試験(レベル 2)は応用情報(レベル 3)の一段階下位にあたる試験です。基本情報は選択式中心で、午後試験も難度は比較的低めに設計されています。応用情報ではこれに加えて記述問題やマネジメント・ストラテジ系の出題が増え、学習負荷も大きくなります。

また、応用情報の合格率は 20 ~ 25%程度と、基本情報の 30%前後より低くなっています。難易度の面では、出題範囲の広さと記述力が求められる点で、明らかに応用情報の方が上とされています。

応用情報技術者試験の合格率・合格点

応用情報技術者試験の合格率は、試験の難易度を把握するうえでの重要な指標です。また、合格点や合格基準も明確に定められており、計画的に学習を進めるうえでの目安となります。ここでは合格率の推移と、午前・午後それぞれの合格点、合格ラインについて詳しく解説します。

合格率

応用情報技術者試験の合格率は例年およそ20 ~ 25%で推移しています。以下に、直近数年の受験者数・合格者数とあわせて合格率の推移を示します。

年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率(受験者ベース)
2023 年度 105,571 人 70,103 人 17,558 人 25.0%
2022 年度 103,844 人 68,518 人 17,343 人 25.3%
2021 年度 89,685 人 59,698 人 14,006 人 23.5%
2020 年度 42,393 人 29,024 人 6,807 人 23.5%
2019 年度 99,244 人 63,555 人 14,160 人 22.3%
2018 年度 101,442 人 64,367 人 14,865 人 23.1%
2017 年度 100,302 人 65,036 人 13,659 人 21.0%

上記のように、毎年安定して 2 割前後の合格率で推移しており、難関国家試験の一つであることがわかります。また、受験者数に対する合格者数の割合から、午前・午後のいずれかで不合格となる受験者が多いことも読み取れます。

合格点

応用情報技術者試験では、午前試験・午後試験のどちらも 60 点以上(100 点満点中)を取得することが合格基準とされています。60 点が合格ラインであり、いずれかが 60 点未満の場合は不合格となります。

  • 午前試験:選択式 80 問。各問 1.25 点で計 100 点満点。**48 問以上正解(60 点)**が基準。
  • 午後試験:11 問中 5 問を選択して記述解答。各問 20 点 ×5 = 100 点満点。合計 60 点以上が合格点。

特に注意すべき点として、午前試験で基準点に達していない場合、午後試験は採点対象外となり、自動的に不合格になります。したがって、どちらか一方ではなく、両方の合格基準を満たすことが必須条件です。

応用情報技術者試験の勉強時間

応用情報技術者試験の勉強時間は基本情報技術者試験に合格している人の場合、合格していない人の場合で変わります。応用情報技術者試験の勉強時間は下記の通りです。

基本情報技術者試験に合格している人の場合

基本情報技術者試験にすでに合格している場合、応用情報技術者試験の出題範囲の一部は重複しているため、学習負担は軽減されます。

合格に必要な勉強時間はおおむね200 時間前後が目安とされており、1 日 2 時間の学習で約 3 か月から 4 か月ほどで合格レベルに到達できます。とくに午前試験は基本情報の知識が活用できるため、午後試験対策に重点を置くと効果的です。

基本情報技術者試験に合格していない人の場合

基本情報技術者試験を受験していない、あるいは未合格の状態から応用情報技術者試験に挑戦する場合は、基礎知識の習得から始める必要があります。

そのため、合格までに必要な学習時間は約 500 時間が目安となります。IT 未経験者の場合は、基本情報レベルの教材を併用しながら段階的に理解を深める学習方法が推奨されます。

半年以上の準備期間を設けると、知識の定着が期待できます。

応用情報技術者試験の範囲

応用情報技術者試験の範囲を午前試験、午後試験に分けて紹介します。

午前試験の出題範囲

午前試験の出題範囲は下記の通りです。

  • テクノロジ系(基礎理論・技術分野):コンピュータの仕組み、ハードウェア・OS・ネットワーク・データベース・セキュリティ・アルゴリズム・プログラミングなど、IT 技術の基礎から応用まで。離散数学や統計、情報理論といった基礎理論も含まれます。特に情報セキュリティは重要分野で毎回複数問出題されます。
  • マネジメント系(IT 管理分野):プロジェクトマネジメント(開発手法、工程管理、品質管理など)やサービスマネジメント(運用管理、ITIL、SLA など)、システム監査といった、IT プロジェクトやサービス運用・監査に関する知識です。現場の管理や監査に必要な用語・手法が問われます。
  • ストラテジ系(戦略・企業活動分野):経営戦略(経営管理手法、マーケティング、ビジネス分析)、システム戦略(情報戦略立案、システム企画)、企業と法務(知的財産、個人情報保護、労働法規、標準化動向)など、IT を取り巻くビジネス全般の知識です。近年は DX、AI の社会実装、クラウドサービスのビジネス活用、情報セキュリティガバナンスなども重要テーマです。

午後試験の出題範囲

午後試験の出題範囲は下記の通りです。

  • 情報セキュリティ(必須):事例形式で、システムのセキュリティ対策やインシデント対応に関する問いが出ます。脅威分析や暗号技術、セキュリティポリシー策定など、実践的な知識を記述で答えます。
  • アルゴリズム・プログラミング:擬似言語で書かれたプログラムの一部を読み、アルゴリズムを理解・完成させる問題です。プログラムの目的を説明したり、出力結果を計算したり、穴埋めで処理を書く問題が典型です。内容は整列や探索など基本アルゴリズムからデータ構造操作、場合によっては簡単な AI 的処理まで様々です。
  • ネットワーク:企業ネットワークの構成やプロトコルに関するシナリオ問題。構成図を読み取り、適切なプロトコル名や通信手順を記述します。サーバ・クライアント間の通信の流れを理解して答える設問などが出ます。
  • データベース:SQL や ER 図に関する問題が典型です。SQL 文の結果を答えたり、不正な操作を防ぐトランザクション処理・ロック制御について説明する問題などが出題されます。
  • プロジェクトマネジメント:システム開発プロジェクトの事例から、進捗遅延の原因分析やリスク対応策を問う問題。ガントチャートを読んでスケジュール遅延を計算するといった計算問題もあります。
  • サービスマネジメント:IT サービス運用のシナリオに対し、SLA の指標計算や障害対応手順、問題管理サイクルについて答える問題など。
  • ストラテジ系(経営・法務):新規システム導入の投資対効果を評価する問題や、IT ガバナンス・標準化に関する記述問題、知的財産や法律に絡むケーススタディなど。

応用情報技術者試験の試験内容

応用情報技術者試験は午前試験と午後試験の 2 部構成で実施されます。午前試験は選択式問題で構成され、出題範囲の知識を幅広く問う形式です。午後試験は記述式で、より深い理解や実践的な応用力が問われます。実際の業務に近い事例や、具体的な問題解決力が求められる点が大きな特徴です。

問題数

午前試験では80 問の選択式問題が出題され、すべてに解答する必要があります。時間は 150 分で、1 問あたりの時間配分も重要になります。午後試験では 11 問の中から 5 問を選択し、記述式で解答します。うち 1 問は情報セキュリティに関する必須問題です。

午後試験も 150 分で行われ、問題文は長文で複数ページに及ぶため、読解力とタイムマネジメントが重要となります。問題数自体は多くありませんが、1 問あたりの内容が非常に濃く、対応には一定の訓練が必要です。

用語問題

午前試験では、情報処理分野に関する用語を問う問題が多く出題されます。単なる意味の暗記ではなく、実務でどのように用いられるか、他の用語との関係性を理解することが重要です。

以下は頻出用語の一例です。

分野 頻出用語例
セキュリティ SSL/TLS、WAF、マルウェア、認証、サイバー攻撃
ネットワーク TCP/IP、DNS、サブネット、MAC アドレス、VPN
データベース 正規化、トランザクション、インデックス、SQL
ソフトウェア オブジェクト指向、ウォーターフォール、アジャイル
法務・知財 個人情報保護法、著作権法、不正アクセス禁止法
経営・戦略 ROI、SLA、IT ガバナンス、BPR、SWOT 分析

出題では、用語を文中で正しく使う能力や、図表・設問との関連性を読み取る力も問われます。

計算問題

計算問題は、主にテクノロジ系とマネジメント系で出題されます。IT リソースの利用効率、ネットワークの帯域幅、CPU の稼働率、工数計算、予実管理、ROI などの計算が出題されることがあります。

難易度は高校数学の範囲内で、基本的な公式や単位変換が理解できていれば十分対応可能です。ただし、出題の背景にある業務シナリオを把握し、条件に応じた計算式を正確に立てる能力が必要です。選択肢の違いがわずかな場合も多く、丁寧な計算と見直しが求められます。

記述問題

記述問題は午後試験の中心となる形式で、与えられた設問に対して、論理的かつ簡潔に記述する力が求められます。出題されるテーマは、プロジェクト管理、サービス運用、情報セキュリティ、システム監査など、実務に密接した内容が多くなっています。

設問は一つの問題内に複数設けられており、例えば「障害発生時の対応方針を 80 字以内で述べよ」といった具体的な状況説明を求められることがあります。部分点がつく形式のため、完全解答が難しい場合でも、主旨に沿った記述ができれば得点につながります。文章構成力と要点を押さえる力が非常に重要です。

プログラミング問題

プログラミング問題では、擬似言語を使用してアルゴリズムの構造や動作を理解する能力が問われます。実際のコーディング力ではなく、コードの流れを正確に読み取り、入力と出力の関係性を把握できるかが評価のポイントです。

内容としては、変数の操作、繰り返し構文、条件分岐、配列の操作など、基礎的な構文を使った処理が多く出題されます。変数の状態を追跡したり、出力結果を推定したりする問題が中心で、ロジック思考と集中力が求められます。

アルゴリズム問題

アルゴリズム問題では、代表的なソート・探索アルゴリズムや、スタック・キューといった基本的なデータ構造を使った問題が出題されます。問題文は擬似コード形式で記述されることが多く、変数の値の変化や処理の流れを追いながら、最終的な出力結果や空欄を補完する形式が多くなっています。

代表的な出題としては、バブルソート、二分探索、ハッシュ法、再帰処理などがあります。選択肢を選ぶだけではなく、記述によって処理結果を説明する問題も出題されるため、処理の意図や動作を正確に理解する力が求められます。

応用情報技術者試験の選択問題

応用情報技術者試験の午後試験では、11 問のうち 5 問を選んで解答します。そのうち 1 問は情報セキュリティに関する設問で、全受験者が必須で解答しなければならない問題です。残り 4 問は、自分の得意分野や業務経験に応じて自由に選択できます。

出題分野は以下のように多岐にわたります。

  • セキュリティ(※必須)
  • ネットワーク
  • データベース
  • プログラミング
  • アルゴリズムとデータ構造
  • システムアーキテクチャ
  • 組込みシステム開発
  • 情報システム開発
  • プロジェクトマネジメント
  • IT サービスマネジメント
  • システム監査
  • 経営戦略・法務・知財

それぞれの問題には、実務に即した長文のシナリオが用意されており、その文脈を正しく読み取ったうえで、設問に対し記述形式で解答します。問題文は 3 ~ 4 ページに及ぶこともあり、読解力・要約力・論理的思考力が求められます。

選択問題では、自分にとって最も得点しやすい分野を選ぶことが重要です。過去問演習を通じて各分野の傾向をつかみ、得意な分野を見極めておくことが合格への近道になります。特にプログラミングやネットワークは、実務経験がある受験者にとって得点源となる可能性があります。

応用情報技術者試験の勉強方法【午前/午後別】

広範な試験範囲を効率よく学習し、合格点を勝ち取るには戦略的な勉強法が重要です。ここでは午前試験対策と午後試験対策に分けてポイントを解説します。

午前試験の勉強法

  • 過去問演習で出題傾向をつかむ:午前問題は過去に出題された知識が繰り返し問われることが多いため、まずは過去問を徹底的に解くことが近道です。IPA 公式サイトで公開されている過去問題冊子と解答を入手し、直近 5 回分ほどを解いてみましょう(IPA サイトには過去問題と解答例が無料公開されています)。解いてみて間違えた問題は、その分野の知識が不足している証拠です。解説を読んで理解し、同種の問題を他の年度でも解いてみて、頻出知識を定着させます。
  • 苦手分野を作らない:午前は全 80 問を解答する必要があり、一部でも手つかずの分野があると致命傷になりかねません。計算問題(離散数学やネットワークのビット計算など)が苦手なら公式の解き方を身につける、法律分野が苦手なら重要な法律名と要点だけでも覚える、など最低限の対策はしておきます。逆に自分の得意分野(プログラミングやネットワークなど)がある場合は、そこを確実に得点源にできるよう演習量を増やし、満点を狙う勢いで固めておきましょう。
  • 高速で解く練習:80 問 150 分なので 1 問あたり約 1 分 50 秒程度の計算です。本番では分からない問題に時間をかけすぎないことが重要です。過去問演習時からタイマーを使い、80 問通しで解いてみて時間配分に慣れましょう。先に解ける問題をどんどん埋め、難問は一旦飛ばして後で見直す練習を積んでおくと、本番で時間切れを防げます。

午後試験の勉強法

  • 過去問で記述回答の感覚を掴む:午後試験もまずは過去問に目を通すことが不可欠です。ただし午前と違い、単に解くだけでなく解答例を読み答案作成の仕方を学ぶことが重要になります。IPA 公式サイトでは「午後問題の解答例・採点講評」も公開されています。自分で解いた後に、模範解答例と比較してみましょう。どのようなキーワードが盛り込まれているか、解答の論点は何かを把握することで、採点者の意図が見えてきます。
  • 論述の練習:午後は記述式ですので、実際に手を動かして書く練習をしましょう。特に説明問題では、設問で尋ねられているポイントに対して簡潔に答える訓練が必要です。例えば「システム障害発生時にまず行うべき対応を述べよ(◯◯ 字以内)」という問いに対し、要件を満たす解答を書く練習です。過去問の設問ごとに、自分なりの模範解答を書いてみて、それが解答例と比べて不足がないかチェックします。
  • 分野選択の戦略:午後は自分の得意な 4 問を選べます。事前に各分野の過去問を一通り見て、どのタイプの問題なら取れそうか検討しておきます。例えば「アルゴリズム問題は難しいから避ける」「管理会計(ストラテジ系)は経験ないので避ける」等を決め、本番では迷わず解答する問題を選択できるようにします。そのためにも広く浅くでいいので各分野の典型問題に触れておくことが重要です。
  • 時間配分と見直し:午後 150 分で 5 問回答となると、単純計算で 1 問 30 分ペースです。問題文が長いので読む時間も考慮しないといけません。最初に必須のセキュリティ問題にじっくり目を通し、残りの選択問題は「これは解けそう」「これは難しそう」とあたりを付けます。解けそうなものから着手し、最後に迷った問題に取り組む方が効率的です。また解答欄の記入漏れ・字数超過などケアレスミスが命取りになるので、5 問書き終えたら時間ギリギリまで見直して整合性を確認しましょう。

応用情報技術者試験におすすめの参考書・教材

応用情報技術者試験の勉強には、市販のテキストや問題集、Web 教材など様々なものがありますが、まず優先すべきは公式の情報源です。公式から信頼できる資料を入手し、不足する部分を民間の良書で補うというスタンスが効果的です。以下におすすめ教材を挙げます。

  • IPA 公式サイトの過去問題&解答例(無料):IPA の「情報処理技術者試験 過去問題」ページから、応用情報試験の過去問冊子(問題文)と公式解答例・配点、講評をダウンロードできます。最重要資料なので必ず活用しましょう。直近の問題だけでなく 5 年分以上掲載されています。印刷して本番同様に解いてみるのも良いです。
  • 試験要綱・シラバス(IPA 公式):出題範囲の詳細項目が書かれたシラバス(科目ごとの細目リスト)も IPA から公開されています。勉強のチェックリストとして、自分がその項目を理解しているか確認するのに使えます。公式シラバスを見れば、試験範囲を漏れなく把握できます。
  • 基本情報技術者試験の教材:もし基本情報試験向けのテキストや問題集を既に持っている場合、それも活用できます。応用情報でも重複する基礎知識(ハードウェア、アルゴリズム基礎、ネットワーク基礎など)が多いため、基本情報の教材で基礎固めし、応用情報特有の分野を追加で学ぶ方法です。
  • 市販のテキスト:初心者で広範囲を独学するなら、一冊で体系的に学べる総合テキストがあると安心です。定評あるものとして「情報処理教科書 応用情報技術者 テキスト&問題集」(翔泳社)や「応用情報技術者 合格テキスト」(TAC 出版)などがあります。これらは最新シラバス対応で毎年改訂されており、章末に確認問題も付いています。まずは教科書でインプット → 過去問演習という流れが作れます。
  • 図解でわかりやすい本:IT 初学者の方には「キタミ式イラスト IT 塾 応用情報技術者」(SB クリエイティブ)も人気です。イラストや対話形式で平易に解説してあるので、抵抗感なく読み進められます。重要ポイントが絞られているので、時間がない方の直前対策にも向いています。
  • 過去問題集(分野別):直近だけでなく、テーマごとに過去問をまとめた問題集も有用です。例えば「応用情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集」(技術評論社)は分野別に過去問を整理し詳しい解説を付けています。苦手分野を集中して対策したい場合に役立ちます。
  • オンライン問題演習:Web 上には無料で過去問練習できるサービスもあります。代表的な「応用情報技術者試験 過去問道場」では、午前問題の過去問を分野別・年代別にクイズ形式で解けます。移動時間やスキマ時間の学習に活用すると効率的です。

教材は色々ありますが、重要なのは繰り返し演習して自分のものにすることです。1 冊買ったら何度も復習し、わからない箇所はインターネットで補足調査するなどして理解を深めましょう。

また、公式情報(IPA)と内容が食い違う場合は公式を優先してください。

古い版の教材を使うとシラバス改訂による出題範囲の変化に対応していないこともあるので、最新版を入手するか公式の追加情報をチェックするようにしましょう。

試験の申し込み方法・日程・受験料・合格発表など