DeepSeekとは?種類や使い方、評判、DeepSeekショックのあらまし、リスクなどを解説!
ChatGPTが登場して以来、生成AIの利用が珍しくなくなった2025年初頭、AI業界を大きく騒がすDeepSeekショックという出来事が起こりました。中国企業が開発した新生成AIモデル「DeepSeek」の登場が原因です。今回は、DeepSeekとは何かがわかるように、種類や簡単な使い方、メリット・デメリット、評判、DeepSeekショックのあらましなどについて解説します。
DeepSeekとは?
DeepSeekとは、中国のスタートアップDeepSeek(ディープシーク:中国・浙江省杭州)が開発した生成AIモデルです。
ChatGPT-o1(複雑な問題解決能力に特化したモデル)と同じくらいの性能であるにもかかわらず無料で使えると話題になっており、アプリストアでもダウンロード数が増加してChatGPTの競合として存在感を放ってきています。
まずは、DeepSeekについて種類や簡単な使い方、メリット・デメリット、評価などを解説します。
種類
DeepSeekは技術革新を重ねることで性能を高めています。1つの種類だけでなく、複数のモデルが存在しています。
DeepSeekは2023年に会社が設立され、2024年12月にDeepSeek-V3が公開されました。
2025年1月には推論能力に特化したDeepSeek-R1も公開され、オープンソースとして公開されているほか、高性能で無料で使えるという点がSNSで話題となりました。
DeepSeek-R1はDeepSeek-V3をベースとして強化学習を適用して性能を高めたようです。自己検証や振り返り、複雑な問題解決に要する長考を生成する能力を持ちます。
開発過程のDeepSeek-R1-Zeroでは、無限ループや言語の混在といった課題があったようですが、強化学習前に少量の高品質なデータを活用することで性能を向上したといわれています。
簡単な使い方
DeepSeekは、すでにiOS版・Android版ともにリリースされており、ストアページからインストールできます。
メールアドレスや電話番号などを登録してログイン可能です。アプリは日本語に対応しており、日本語でも質問を行えます。
基本的には従来の生成AIサービスと同様にチャット画面が出てくるので、AIに対してプロンプトを入力して送信するといったシンプルな使い方で利用可能です。
撮影した写真や画像を送信して質問することもできます。PDFファイルやメモ帳などを読み込めるのも便利です。
すでに触れたDeepSeek-R1という推論能力に特化した大規模言語モデルを搭載しています。アプリ内の「深く考える(R1)」から機能を使用可能です。通常のAIが不得意とする論理的な推論問題にも高精度で回答してもらえます。
なお、スマホ版だけでなく公式WebサイトからもDeepSeek-R1とチャット形式で対話することも可能です。
メリット
DeepSeekは、すでにChatGPTの競合のように注目され、多くの方々から機能が比較され始めています。
ChatGPTではできないこともDeepSeekができる場合もあり、メリットも浮かび上がってきました。
たとえば、ChatGPTの無料版では基本的にPDFを読み込めない一方で、DeepSeekでは読み込めるといったメリットが挙げられます。
ChatGPTでできないことを補完するために利用するといった使い道も検討できそうです。
無料なだけでなく、改変や再配布など無条件に利用できる点も見過ごせないポイントとなっています。すでに国内企業も日本語データを追加学習したLLMを公開し始めているようです。今後も活用の幅が広がっていく可能性も秘めているといえるでしょう。
デメリット
DeepSeekは高性能であると話題になっていますが、一般的な生成AIと同様に必ずしも適切な回答が得られるとは限らないようです。
英語と中国語に最適化されており、ほかの言語では言語の混在が生じる恐れがあるといわれています。
領土問題のような中国に関連する質問をすると、回答を拒否されてしまうケースもあるとのことです。
一般的な生成AIサービスとは違って、中国の企業が開発したサービスならではの制限が、情報収集の利便性を低下させる恐れもあるかもしれません。
評判・口コミ
実際にDeepSeekは使いやすいのか、世間での評判、口コミなどを見る限りでは、下記のようなポジティブな意見が目に入ってきます。
・無料なのにレベルが高い
・ChatGPTよりも反応が速い
・日本語にもしっかり対応していた
・ChatGPTと同じくらいの回答を得られる
・とても役に立っている
ただ、登録がうまくいかなかったというレビューやデータが古いかもしれないというレビュー、動作が不安定に感じるというレビューなどネガティブな意見も見受けられました。
話題のツールだからといって安易に利用すると、戸惑う事態に見舞われることはあるかもしれません。
DeepSeekショックとは?
DeepSeekショックとは、最先端の半導体を使わずChatGPTに匹敵するとされる性能の生成AIモデルが開発されたという事実が、米半導体大手NVIDIAをはじめとする米ハイテク株を下落させたことです。
株価が下落した背景
AIモデルの開発では膨大な計算処理が不可欠です。
膨大な計算処理によって開発料金が高くなると、利用者のサービス料金が高くなります。ChatGPTの最上位モデル(o1 pro mode)を利用する場合は月に3万円程度の支払いが必要です。
処理を高速化するためにCPUよりも並列処理に強いGPU(Graphics Processing Unit)が求められます。GPUは従来は画像処理に利用されていた演算装置でしたが、行列計算を主とするディープラーニングの分野で重宝され、言語処理や音声処理にも活用されるようになってきました。
DeepSeekは中国企業であり、米国によるAI向け半導体輸出規制措置の対象でGPUへのアクセスが限られています。しかし、最新テクノロジーによって従来よりも学習・推論に要する計算リソースを大幅に削減し、GPU負荷を減らす工夫をして運用しているようです。
最終的に、DeepSeekは開発費のコスト削減がうまくいったのか、OpenAIの上位AIモデルと並ぶスペックを持つにもかかわらず、安価な利用料金で提供されるに至っているとのことです。
DeepSeekがAIモデル開発の既成概念を覆す可能性が生じたため、AI関連企業の株価が下がったとの見解が出ているのでしょう。
いずれにせよDeepSeekショックを機に、生成AIで市場をけん引していたアメリカに対し、中国が市場を塗り替える可能性のある競合として浮上しました。
DeepSeekは危ない?想定されるリスク・危険性は??
DeepSeekはChatGPTに劣らない性能を発揮するのに安いと聞いて、危ないサービスなのではないかと疑う方もいるでしょう。
DeepSeekはたくさんの方々が利用して検証を始めており、中には使用を控えるべきといった論調も少しずつ顕在化してきている印象です。
中国政府への情報流出
一般的なアプリの通信ではデータをやり取りするため、DeepSeekにも情報が蓄積されていると考えられます。ただ蓄積されるだけであればあまり気にならないかもしれません。
しかし、中国では法律によって政府が企業の保有データを収集できるという懸念も見受けられるようになりました。
もし本当であれば、日ごろの質問や調査内容について外国で分析されるリスクがあるということになります。誰しもにとって気味が悪いと感じるのではないでしょうか。
中国外務省は企業に違法なデータ収集を要求しないという反論をしたようですが、イタリアではデータ取り扱いへの懸念からDeepSeekのダウンロードが規制されたようです。情報流出の真偽について今後も検証が進んでいくでしょう。
安全性への深刻な欠陥
DeepSeekはそもそも適切にセキュリティ対策が行われているのか不安な方もいるでしょう。
その点も世間で検証が始まっており、セキュリティ研究者たちが悪意のあるプロンプトによって脆弱性をテストしたところ、攻撃成功率が極めて高かったという報告が挙がってきています。
特に懸念点として話題となっているのが「脱獄」です。脱獄とは、安全維持のための制限を突破して悪意のあるコンテンツを生成させる行為として知られています。DeepSeekも悪意のある第三者によって悪用されるリスクはゼロではないようです。
その点、ChatGPTへの攻撃成功率は対照的に低いという検証結果も報告されています。安全性の面ではChatGPTに軍配が上がるようです。
DeepSeekは違法になる?
ネットサービスに関しては、便利だと思っていたものがいつの間にか違法とされ、社会問題として浮彫になることが多いです。
DeepSeekは中国への情報流出リスクがあるという見解についてお伝えしましたが、今後違法とみなされるのではないかという見解も出てきています。
DeepSeekが開発費を削減できているのは最新技術の活用ではなく、既存生成AIの出力を悪用しているのではないかという見解です。
もし出力を模倣して開発されていたとあれば、被害に遭った競合他社から訴訟される恐れがあります。
訴訟に負ければ、AI業界を根底から覆す革命的なツールから、単なる違法アプリに成り下がってしまうかもしれません。
そもそも導入に迷うどころか、利用できない事態に陥る恐れもあるでしょう。
結局ダウンロードしても大丈夫?
DeepSeekには、少なからず脆弱性に関するリスク、違法とされるリスクがあるであろうことをお伝えしました。
特に、検証結果でセキュリティ面でのリスクが明るみになってきていることから、必ず安心して利用できるといった確証はないというのが実情となっている印象です。
企業にとって情報漏えいは事業の損失につながる大問題となりかねません。機密情報や業務情報、個人情報の保護という観点では、慎重に導入を判断する必要があるといえます。
こういったリスク、危険性が指摘される一方で、アプリストアでは日本人の方々が高評価のレビューをつけているケースも簡単に見つかります。
少しでも不安があれば各自でも評判や口コミ、専門家の記事などをリサーチして利用を検討するとよいでしょう。
それでもリスクや危険性が気になるようであれば安易にダウンロードせず、DeepSeekの動向をニュースなどで追いながら様子を見るのもよいかもしれません。
生成AIでスキルアップするならメンタリングも検討
DeepSeekのリスクはともかく、生成AIの活用はビジネスの効率化、DX推進、市場での生き残りには不可欠な要素となっています。
今後、社内でIT人材として活躍する、またはIT転職を成功させるには、生成AIに関するスキルアップは避けて通れないでしょう。
ただ、生成AIに関するスキルアップには迷いがつきものです。ツールの選び方や効果的なプロンプト、セキュリティの課題、現場への導入方法など、活用にあたって疑問点が生じてきます。
迷わず生成AIを使いこなすためには、AIやデータ分析の専門家をメンターとして確保しておくのが望ましいでしょう。
ビッグデータラボでは、個人の目標に応じてAI・データ分析のスキルアップを目指せるメンタリングプログラムを提供しています。
現役のデータサイエンティストが一人ひとりの課題に応じて、生成AIの活用も含めた学習カリキュラムを提案します。
無料相談を受け付けているので、DeepSeekの活用に迷っている方や、社内で生成AIを活用するアイデアが浮かばない方、生成AIスキルを磨いて転職を成功させたい方などは、ぜひ一度ビッグデータラボまでお問い合わせください。
AI・データ分析メンタリングプログラム
データ分析講座で、受講者が統計とデータ分析に関する広範な知識を習得できるプログラムであることを正式に認定する制度です。
まとめ
今回は、DeepSeekの概要をはじめ、簡単な使い方、メリット・デメリット、評判などをお伝えするとともに、現状懸念されているリスクについてもご紹介しました。
DeepSeekは無料にもかかわらず性能の高い生成AIサービスですが、ChatGPTと比較するとセキュリティに課題がある印象です。
ニュースや世間の評判などを参考にしながら慎重に導入を判断することが重要になってきます。
AIやデータ分析の専門家であればDeepSeekに関する最新情報を提供できます。必要に応じてメンタリングサービスの利用も検討してみるとよいでしょう。