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データ分析実務スキル検定を徹底解説 - DS検定や統計検定との比較

データ分析実務スキル検定を徹底解説 - DS検定や統計検定との比較

データ分析実務スキル検定(CBAS)は、Excelを中心とした実務的データ分析能力を国内で証明する資格です。CBASには「シチズン級(Citizen)」「プロジェクトマネージャー級(PM)」の2区分があり、前者はエクセル操作を含む集計・可視化の初歩を、後者はSQLや機械学習概要まで含む分析プロジェクト全体の基礎知識を問います。CBASは試験合格のみ(CBT/IBT方式)で認定され、合格者にはオープンバッジが交付されます。

他方、DS検定や統計検定、JDLAのG検定など国内試験は、知識の幅や理論的理解を問うものが多いです。DS検定は「データサイエンティストに必要なデータサイエンス・エンジニアリング・ビジネス力のリテラシー(★)レベル」を証明し、統計検定2級は大学初年次レベルの統計学を確認します。G検定はAI・深層学習の基礎知識と事業活用能力を検定します。

本記事では、これら資格との比較を行い、CBASがどの層にマッチするか整理します。さらにCBAS取得後のキャリアパスとして、業界基準である英国王立統計学会(RSS)の5つの認定資格(認定データアナリスト~公認統計家)との関係・取得順も紹介し、実務家向けの具体的学習ルートを提示します。

1. データ分析実務スキル検定とは

データ分析実務スキル検定(CBAS)は、ビジネスパーソン向けに最低限必要なデータサイエンス知識・スキルを証明する試験です。特に「現場にある生データを加工し、分析・可視化できる基礎力」を重視します。CBT(会場受験)およびIBT(在宅受験)方式があり、受験資格制限はありません。合格基準に達するとオープンバッジが交付され、合格証明となります。

公式テキストも整備されており、Citizen級・PM級いずれも対応書籍や対策講座が発売されています。以下の表に、CBASの概要をまとめます。

項目 CBASシチズン級 CBASプロジェクトマネージャー級
目的/対象スキル Excel中心のデータ前処理・集計・可視化の実務スキル 分析プロジェクト全体の知識(KPI設計、法令、SQL、統計、ML概要、モデル評価など)
問題数・形式 20問(選択式+Excel実技) 60問(選択式+Excel実技5問)
試験時間 80分 90分
合格基準 100点満点中70点以上 97点満点中64点以上
受験料(税抜) 8,000円(8,800円税込) 10,000円(11,000円税込)
試験形式 CBT/IBT(Excel操作問題あり) 同左(Excel操作問題5問含む)
証明できる能力 データハンドリング(クレンジング・抽出)・集計・可視化・簡単な仮説検証 ビジネス課題を分析課題に翻訳し、SQL・R/Pythonを概観・使いこなす基礎知識
主な対策教材 公式テキスト(Citizen級)、問題集、Udemy講座 公式テキスト(PM級)、問題集、Udemy講座

公式案内によれば、シチズン級は**「Excelを使って現場データを加工・整形するスキル」を測定する試験で、合格者は実業務で簡単な分析を行える力を有していると評価されます。PM級は専門家ではないビジネスパーソン向けで、「分析プロジェクトを円滑に進めるための基礎知識」**(KPI設計、法令、SQL、機械学習など広範囲)を問います。

2. シチズン級・PM級の違い

CBASには難易度別の2区分があります。以下の表で比較します。

比較項目 シチズン級(初級) PM級(中級)
受験対象 非専門家のビジネスパーソン データ分析を業務で使う意思のあるビジネスパーソン
想定スキル・役割 Excelを駆使したデータ整形・前処理・可視化 データ活用プロジェクトの推進、専門家との橋渡し
出題例(トピック) ・データの前処理(欠損値処理、重複削除、整形)・単純集計とグラフ作成・相関・散布図などの関係性探索・仮説検定の基礎 ・KPIツリー作成、データガバナンス(法令・規約)・SQL基礎とデータ抽出・高度グラフ/ダッシュボードの理解・基礎統計・機械学習概要・予測モデル評価/施策評価
問題数/形式 20問(Excel実技5問+選択式15問) 60問(Excel実技5問+選択式55問)
時間 80分 90分
合格点 70点/100点 64点/97点
受験料 8,000円(税抜) 10,000円(税抜)
例題・実務水準 実際の業務データをExcelで加工し、集計・可視化しながら結論を出すスキル データ分析プロジェクトの要件定義・データ収集から分析・評価まで一通りの知識。コーディングやモデル理解は概要レベル

まとめると、シチズン級は「まずExcelでデータを触って簡単な分析結果を得る実務的入門」を目指し、PM級は「分析プロジェクトを設計・進行できるビジネス担当者」の基礎力を測る内容です。

3. どんな人に向いているか

CBASは次のような人に向いています:

  • 現場で分析業務を始めたビジネスパーソン(ExcelやBIツールでレポート作成に携わるなど)。
  • 実務で使える基礎を固めたい人(難しい数理理論より、「データを扱い分析する手順」にフォーカスしたい)。
  • 転職や社内異動で最低限の分析力を証明したい人

逆に向きにくいのは:

  • 純粋な数学・統計学の専門性を深めたい人(統計検定1級クラスを目指す人など)。
  • 研究レベルの理論力を求める人
  • 実務経験を中心とした専門職認定を目指す人(RSS認定データアナリスト以上の職能資格を念頭に置く人)。

公式テキストにも「データ分析の専門職ではない実務家の方を対象」と明記されており、重視するのは現場レベルのスキルです。同時に、CBASは試験合格のみで認定されるため、実務経験要件はありません。したがって、実務経験を積みつつ国際専門家認定を狙う場合は、CBAS取得後に経験や研鑽を重ねる必要があります。

4. DS検定・統計検定・G検定との違い

国内のデータ分析・AI関連資格には多様なものがあります。CBASとの違いを以下に示します。

資格 証明する力・内容 理論vs実務 試験形態 実務経験要件 主な活用例
CBAS Excelによるデータクレンジング・集計・可視化など、実務的分析スキル 実務寄り 試験のみ 要求なし ビジネス分析の基礎証明
DS検定(リテラシーレベル) データサイエンティストに必要な「データサイエンス力・データ工学力・ビジネス力」の★レベル(入門) 幅広い知識(座学) 試験のみ 要求なし 基礎知識の証明・学習の指標
統計検定 (2級〜1級) 2級:大学初級レベル統計学の知識。1級:高度な統計数理・応用を問う(論述式)。 理論重視 試験のみ 要求なし 統計学習の到達度、公的証明
G検定 AI・深層学習の基礎知識と事業活用能力(ジェネラリスト検定)。 AI分野の知識(実務想定) 試験のみ 要求なし AIリテラシー証明、DX人材強化
  • DS検定(データサイエンティスト協会)では、主に座学的な知識(アルゴリズム理論やビジネス活用例)が問われるのに対し、CBASはツール操作と実務フロー重視です。DS検定は100問・100分・税抜1万円(一般)で、制限なく誰でも受験できます。
  • 統計検定は日本統計学会認定の資格で、2級~1級に分かれます。2級は「大学基礎課程レベルの統計学知識」を測定する試験であり、1級は統計数理と応用の論述試験です。いずれも知識量と理論の理解度を問います。受験形式はCBT方式(2級は35問・90分)、合格点は60%ほど。
  • G検定(ジェネラリスト検定)*はJDLAが実施する、AI・深層学習の*基礎知識とビジネス活用力を認定する試験です。アルゴリズム詳細より活用シナリオに重きがあり、CBASのようなツール操作スキルは問われません。試験はCBT形式で、合格には75問中50問前後の正答(年度・回による)が目安です。実務経験要件はなく知識ベースの資格です。

これらの違いを総括すると、CBASは**「データを実際に触って分析するスキル」を示す実務指向の資格です。一方、DS検定やG検定は知識・リテラシーレベル**、統計検定は理論・体系的理解の証明にフォーカスしており、すべて試験合格のみで得られる資格です。

5. 国内資格の中での位置づけ

国内のデータ・統計系資格を整理すると、入門〜専門職認定の4層が描けます:

  1. 実務スキル入門層(CBASシチズン級など) Excel/BIツールでデータを扱う基礎技能を証明。
  2. 知識リテラシー層(DS検定、G検定、CBAS PM級、CBAS Citizen級含む) データサイエンス全般やAI活用の基礎知識を問う。
  3. 理論深化層(統計検定2級〜1級、応用統計系) 統計学・データサイエンス理論の深い理解を示す。
  4. 国際職能認定層(RSS認定資格) 学歴・実務経験・継続学習を含む専門職基準の認定資格。

キャリアパス例としては、CBASを入り口とし、DS検定で基礎知識を広げ、統計検定で理論を深める流れが良いでしょう。その先にRSS認定が位置し、職能基準に基づいた専門性を示す形が良いでしょう。もちろん、個人の目標に応じて学習経路は変わります。

6. データ分析実務スキル検定の次に何を目指すべきか

CBAS取得後のステップはキャリア目標によって異なります。主な進路を例示します:

  • 業務で成果を上げる実務家:CBASシチズン級→PM級→実務経験を積む→RSS認定データアナリストへ(要1年経験)→さらに認定データサイエンティスト(修士レベル学歴+2年経験+推薦者2名)まで。
  • IT/BIマネージャー:CBASで基礎証明→DS検定・G検定で知識補強→大規模分析プロジェクト経験→認定データサイエンティストや統計寄りなら認定統計家へ。
  • 理論寄り志向の統計人材:CBAS取得で実務土台→統計検定2級・準1級・1級で理論を身につけ→認定統計家(大学院レベル学習+2年経験)→最終的に公認統計家(5年以上経験+国際貢献要件)へ。

求める職能や専門度に応じて上記のようなルートが考えられます。いずれもCBAS単体ではなく経験や学習の積み重ねがカギになります。

7. データ分析スキルの国際認定

英国王立統計学会(RSS)の5認定資格は、知識・経験・倫理遵守など職能基準で認定される国際資格です。CBASで得られる知識は、そのまま認定要件に含まれるわけではありませんが、RSS認定取得へ向けた基盤になります。主な5資格と要件をまとめると次表の通りです。

RSS認定資格名 主な要件(一例) CBASとの関係とギャップ
認定データアナリスト (CDA) 認定講座修了+実務経験1年 CBASは知識要件の一部とみなせるが、経験1年・RSS認定講座等が必要 (CBAS単独では足りない)。
認定データサイエンティスト (CDS) 統計/数学学位または認定講座+実務2年+2名推薦 CBAS範囲を超える統計/ML知識や学位経験2年推薦者が必要。
上級認定データサイエンティスト (AdvDSP) 実務5年以上+リーダー経験+継続研鑽 CBASの資格は基礎のみ。**長年の実務経験、管理・推進実績が要件。
認定統計家 (Graduate Statistician) 統計学学位レベル(学部/修士)+実務2年以上 CBASは統計学位をカバーせず、統計専攻履修経験2年が必要。
公認統計家 (Chartered Statistician) 実務5年以上+組織リーダー経験 統計学位と5年超経験に加え、管理職経験・組織外への貢献が必要。CBASのみではほぼ要件未達。

例えば、「認定データアナリスト」はRSS認定講座相当の教育と業務経験1年が必要です。CBASは認定講座には該当しないため、認定取得にはRSS公認講座を受講するか、要件チェックでCBASが満たすか確認する必要があります。また、認定申請時に直近1年のデータ分析業務参画が求められます。 認定データサイエンティストは学位相当の学術要件と経験2年、推奨人員2名が必要です。CBAS取得だけでは学術要件を満たさず、実務経験も不足しています。 上級認定や統計家認定になると要件がさらに厳しくなり、5年以上の経験組織横断のリーダーシップなどが必要です。これらはCBASの枠を大きく超えるため、目指すには長期的キャリア形成と継続的研鑽が不可欠です。

8. おすすめの取得順

具体的なキャリア像(ペルソナ)ごとの例を示します。

  • 新米アナリストの場合(20代後半の分析担当者):

    1. CBASシチズン級(2026年初春に受験)– Excel・分析実務の基礎力を確認。
    2. DS検定(同年夏)– データサイエンスの全般知識を補強。
    3. 実務経験1年後にRSS認定データアナリスト申請(現場課題をこなす)。
    4. CBAS PM級(受験機会があれば翌年)– プロジェクト視点の知識を取得。
    5. 経験2〜3年後に認定データサイエンティストを検討(学位が無ければ認定講座など)。
    • 学習リソース: 公式テキスト、Udemy講座、統計・Excel実務書籍など。
  • BI担当マネージャーの場合(30代半ば):

    1. CBAS PM級(早期受験)– プロジェクト管理知識をアップデート。
    2. G検定(AIリテラシーを補う)。
    3. 統計検定2級(数理基礎の確認)。
    4. データ分析チーム運営経験を積みつつ、認定データサイエンティスト取得(業務中に認定講座受講+2年経験)。
    5. キャリア次第で上級認定データサイエンティストに向けた学習(CPD、リーダーシップ研修など)。
  • 統計志向のエンジニアの場合(20代後半・理系出身):

    1. CBASシチズン級(分析ツール習得の証明)。
    2. 統計検定2級 → 準1級(体系的な統計知識習得)。
    3. CBAS PM級(実務への知識適用確認)。
    4. 実務2年後に認定統計家(修士相当の統計知識+2年経験)。
    5. さらに5年以上で公認統計家も視野。

9. まとめ

  • CBASは実務重視の国内試験資格で、Excel/SQL/可視化など現場分析の基礎力を証明します。
  • 試験合格のみで認定されるため実務経験は問われず、学習と受験で取得可能です。一方で高度な数理・経験・継続研鑽を示すものではありません。
  • キャリア展開として、実務経験を積みながらRSSの認定資格へ進む道があります。認定データアナリスト以上は学歴・経験要件が追加されるので、CBASはその第一歩と位置づけるのが自然です。

実践的な学習のコツ:過去問や公式テキストを使った反復学習に加え、自身の仕事でCBAS出題範囲の分析を実際に試すと理解が深まります。転職や社内評価にも利用できる資格なので、スキルと並行して早めに取得しておくとよいでしょう。次のステップとしてはDS検定や統計検定で理論を固め、RSSの認定講座・実務経験を通じて国際的職能認定を目指しましょう。

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