医療業界における生成AI活用事例特集!国内・海外の事例5つ紹介!
東北大学病院(電子カルテから医療文書自動生成)
東北大学病院は、生成AIを活用して医療文書の自動生成を行う実証実験を実施しました。この取り組みは、電子カルテのデータを基に効率的に医療文書を生成することを目指しています。
NECとの共同実証実験
東北大学病院とNECは2023年10月から11月にかけて、日本語LLM(大規模言語モデル)を使用した実証実験を行いました。この実験では、電子カルテに記録された患者情報をNECが開発したテキスト分析AIを用いて整理し、その結果を基に医療文書の自動生成を試みました[1]。
医療文書作成時間の短縮
この実証実験により、医師が紹介状や退院サマリーなどの医療文書を新規に作成する際の時間を大幅に短縮できることが確認されました。具体的には、平均で47%の時間短縮が達成されており、業務効率の改善に大きく貢献しています[2]。
生成AIによる情報整理と誤情報対策
生成された医療文書は、元の電子カルテ情報をしっかり整理し、関連付けたものです。このため、医師がエビデンスを容易に確認でき、生成AIによる誤情報(ハルシネーション)を防ぐ対策にもなっています[3]。
橋本市民病院での実証実験
和歌山県の橋本市民病院でも、同様の生成AIを活用した実証実験が行われています。この病院では、電子カルテ情報を匿名化してクラウド上のLLMに連携させることで、個人情報を保護しつつ医療文書を生成する仕組みを構築しました[4]。

順天堂大学(診療報酬算定業務効率化)
順天堂大学は生成AI技術を活用し、診療報酬算定業務の効率化を進めています。電子カルテの情報から診療報酬点数を迅速に抽出・整理することで、作業時間の短縮とコスト削減を実現しています。これは医療現場の負担を大きく軽減し、システム全体の効率向上を目指す取り組みです。
FIXERとの共同研究
順天堂大学は2024年春から医療DX支援会社FIXERと共同で研究を進めています[1]。この研究は、生成AIを用いて診療報酬算定業務を効率化することを目的としています。従来、診療報酬の算定は複雑で時間がかかる業務でしたが、AI技術を活用することで、このプロセスを大幅に短縮することが期待されています。
GaiXerの活用による診療報酬点数抽出
FIXERが提供する生成AIサービス"GaiXer"(ガイザー)を用いて、電子カルテの情報から診療報酬点数を抽出する仕組みが研究されています[1]。GaiXerはMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを基盤に開発されており、電子カルテの記載内容を理解して、診療報酬の算定に必要な情報を迅速に抽出できる機能を備えています。
労働時間の大幅短縮とコスト削減
この生成AIの導入により、病院全体で数日かかっていた診療報酬の作成を数分程度に短縮することが可能になります[1]。具体的には、AIによる原案作成が数十秒で行われ、人手でのチェックを含めても数分で完了できます。これにより、医療従事者の労働時間を大幅に削減し、業務の効率化とコスト削減を実現します。
診療報酬改定時のシステム改修費用削減
生成AIの効果は、診療報酬改定時にも発揮されます。従来はシステムの改修や人手による確認作業に莫大な費用がかかっていましたが、AIの導入により改修コストも削減が可能です[1]。これにより、国の医療費抑制や病院運営の持続可能性向上にも寄与することが期待されています。

大阪国際がんセンター(患者向け対話型AI問診・疾患説明)
大阪国際がんセンターでは、生成AI技術を活用した患者向け対話型問診および疾患説明システムを導入しました。このシステムは、患者と医療のインターフェースを革新し、新たな医療の可能性を切り拓く試みです。
AI創薬プラットフォーム事業
大阪国際がんセンターは、国立医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)とIBMと共同で、AI創薬プラットフォーム事業を2024年3月から推進しています。このプロジェクトの一環として、対話型疾患説明生成AIシステムの開発および運用が行われています。このシステムは、AIを活用して患者とのコミュニケーションを向上し、治療の理解を促進することを目的としています[1][2]。
乳がん外来初診患者向けシステムの運用
2024年8月から、大阪国際がんセンターは、乳がん外来の初診患者向けにAIアバターとチャットボットを組み合わせた双方向システムを提供しています。患者は来院前にQRコードを使用してアクセスし、乳がんに関する解説動画を視聴したり、AIに音声やキーボードを用いて病気や治療についての疑問を質問することができます。このシステムは、患者が自分のペースで病気について理解を深めることを可能にしています。診療前にこれらの情報を患者が受け取ることで、対面の説明時間を削減するだけでなく、医師とのコミュニケーションも円滑にしています[3]。
Watsonx.ai導入による説明時間短縮
システムは最新のIBM LLM(Watsonx.ai)を基盤に構築されており、従来1時間を要していた説明と同意取得の時間を約30%短縮することを目指しています。AIは対話を通じて患者の不安や疑問を解消し、よりスムーズな治療プロセスを実現します。患者は、説明を何度も視聴したり、AIに対して気軽に質問を繰り返すことができるため、安心感を高められます[3][4]。
患者と医師の双方からの好意的な評価
本システムの実運用後、患者からはAIシステムに対する信頼感が高まっています。「不確かなネット情報ではなく、信頼できる情報が得られた」「AIが質問に対して正直に『わからない』と返答する姿勢が信頼に繋がった」などのポジティブな評価が寄せられています。また、医師からも「AIを介して患者の質問内容が事前に把握できるため、より質の高い治療が可能になった」と評価されています。このようなフィードバックは、AI技術が医療の現場においてどのように役立つかを示す好例となっています[5]。

恵寿総合病院(「ユビーメディカルナビ」で看護・医師文書作成を支援)
石川県七尾市の恵寿総合病院では、医療業界の課題である人手不足に対応するため、生成AI技術を駆使した医療文書作成支援サービス「ユビーメディカルナビ」を導入しました。この取り組みは医師や看護師が担う業務の効率化と質の均一化を図るもので、退院サマリーや紹介状の作成をはじめ、医療現場の情報処理を革新しています。
Ubie社のAIサービス導入
恵寿総合病院は、Ubie社の提供する「ユビーメディカルナビ 生成AI」を活用しています。このAIは多機能な生成AIシステムで、医師による紹介状作成や看護師による退院サマリーの記録作成を支援します。また、同AIは自然言語処理や要約、音声認識といった高度な技術を組み合わせて、医療現場の様々なニーズに応える設計となっています[1]。
実証実験における大幅な時間短縮
2023年12月から2024年1月に実施された実証実験では、医師・看護師・事務スタッフ計15名が参加し、AIの有用性を確認しました。特に注目すべきは、医師が退院時のサマリー作成にかかる時間を従来の15分から5分に短縮できたことです。これは業務効率化の観点から非常に大きな効果をもたらしており、人手不足解消の一助となっています[2]。
生成AIによる記載漏れ・ミスのリスク軽減
AIを活用することで、医療文書の記載漏れやヒューマンエラーが大幅に減少することが期待されています。特に退院サマリーや紹介状の作成時には、AIが入力データを自動的に確認し、エラーを検出するため、人間によるミスを防ぐことが可能です。これにより、患者ケアの質向上にも繋がっています[2]。
適用範囲の拡大と医師の働き方改革
恵寿総合病院では、生成AI技術の適用範囲をさらに拡大しています。当初は退院サマリーや紹介状の作成支援が主要でしたが、今後は看護サマリーやインシデントレポートへの応用も予定されています。このAIの導入により、医師の働き方も大きく変革され、生産性の向上と質の均一化が期待されています[1]。

メイヨークリニック(Google Cloudと連携した生成AI検索システム)
メイヨークリニックは、Google Cloudとの連携により、生成AIを活用した院内検索システムを導入しました。このシステムは、膨大な医療データを効率的に処理し、医療現場での情報処理を大幅に改善します。この記事では、そのシステムの詳細やその利点について詳しく見ていきます。
Google Cloudとの提携
メイヨークリニックは、2023年6月にGoogle Cloudと提携し、生成AI技術を用いた院内検索システムを導入しました。これは、GoogleのGenerative AI App Builderを基盤としたシステムで、膨大な医療データを効率的に検索できるものです[1]。メイヨークリニックは、この提携によって、医療情報の処理と活用の効率を大幅に向上させています。
Generative AI App Builderの利用
メイヨークリニックが利用しているGenerative AI App Builderは、電子カルテや研究論文、診療ガイドライン、画像データなど、さまざまな情報ソースを統合して検索する能力を持っています。この統合検索によって、医療従事者は必要な情報を短時間で取得でき、診断や患者ケアに迅速に反映することが可能です。システムはチャットボット型のインターフェースを採用しており、ユーザーが自然言語で質問を入力することで簡単に情報を得られます[2]。
情報到達時間の短縮による患者ケア向上
このシステムの導入により、医療従事者が情報にアクセスする時間が平均87%短縮されました。こうした効率改善は、迅速な診断および治療方針の決定を可能にし、患者へのケアの質を向上させる重要な要素とされています。実際、リアルタイムでの情報取得が可能となり、医療ミスの減少や患者の待ち時間短縮につながっています[3]。
HIPAA準拠による患者情報保護
この生成AI検索システムは、米国の医療情報のセキュリティ基準であるHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)のガイドラインに準拠しています。これにより、患者のプライバシーを保護しながら、安全に情報を処理することが可能です。Google Cloudのセキュリティ専門家によって十分に検証されており、データの取り扱いにおいても最高水準の安全性が確保されています[4]。

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