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マッチング精度はどこまで上がるのか?改善事例と、実際に動いた数字

マッチング精度はどこまで上がるのか?改善事例と、実際に動いた数字

この記事では、当社が実際に支援したマッチング精度改善の取り組みを数値とともに紹介します。人材マッチング業務から、スカウトメールの配信、広告のレコメンド、不動産、企業と企業のマッチングまで、幅広く紹介します。

人材マッチング:マッチングシステムで接触率が30%改善

当社で支援をした大手人材企業様での実証です。架電の総数を170件にそろえたうえで、ベテランコーディネーターが経験でつくった接触リストと、AIが抽出したリストを比べました。

段階 従来(経験ベース) AI抽出リスト
架電総数 170 170
接触 17件(10%) 71件(41.8%)
エントリー数 2件 22件(31.0%)
エントリー → 成約 1件 6件

マッチングの精度を考える上で、上記のように段階ごとにビフォーアフターを計測する方法が有効です。接触率も手配率も途中の通過点でしかなくて、最後にどれだけ決まったか、つまり成約こそがマッチング精度になります。そしてその成約が、6倍に改善しました。

しかもこれは、架電のリスト作成の時間を削りながらの結果です。ベテラン採用スタッフが30分-1時間ほどかけてつくっていたリストが、数秒で出るようになりました。速さと精度は、必ずしもトレードオフではなかったということです。

断られた理由を数えてみたら、詰まっていた場所が想像と違った

マッチング精度改善のヒントは、接触できたのに応募に至らなかったおよそ50件の理由を整理して見つかってきました。

未手配の理由 割合
就業条件が合わない 28.6%
他社決定 16.3%
属性が合わない 14.3%
他社で就業中 12.2%
検討中 12.2%
その他(開始日・時給 など) 残り

※当社で支援をしたある人材派遣における実証実験記録

同じ「決まらなかった」でも、中身はまったく別物です。就業条件が合わない属性が合わないを足すと4割強で、これは当て方そのものがずれていたということ。一方で他社決定は、当て方の問題ではなく、単純に間に合わなかったということです。声をかけたときには、もう他で決まっていた。

この2つは、打つ手がまるで違います。前者はリストの絞り方を直す話ですが、後者はどれだけ精度を上げても、動くのが遅ければ意味がない。速さは「あれば嬉しいもの」ではなく、精度の一部だと考えたほうが実態に合います。

関連プロダクト
求人マッチングAI
AIが「次に成約する候補者」を上位に表示
候補者データ・求人案件・連絡履歴を統合し、AIがマッチ度と接触の優先順位を可視化する「求人マッチングAI」。自社実証では、抽出したリストからの成約が約6倍になりました。
求人マッチングAIを詳しく見る

スカウトメール配信:配信できる案件を21件から122件に広げ、作業は週30分に

同じく大量の登録者を抱える人材企業様の事例です。従来はエリアで登録者を絞り、似た求人をまとめて送る形でしたが、対象者の選定と文面づくりに手間がかかり、思うような頻度で配信できていませんでした。

登録者の行動履歴と属性から配信対象を自動で選び、その人ごとに関心の高そうな案件をAIが選定するようにしたところ、送れる案件の幅が大きく広がりました。

  • 対象配信案件数:21件 → 122件
  • 配信業務の時間:平日1時間・土日3時間 → 週1回30分程度

ここで削ったのは、対象者の選定や案件のひも付け、文面のたたき台づくりといった準備の工数です。最終的な言い回しは、いまも人が手で仕上げています。理由は後述しますが、ここをAIに任せきってはいけません。

広告レコメンド:ルールベースを予測モデルに変えて、クリック率が2%から3.4%へ

広告配信の事例です。もともとルールベースで組まれていた出し分けのロジックを、行動データを使ったクリック率予測モデルに切り替えました。

結果として、クリック率が2%から3.4%へ、およそ1.7倍になりました。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、広告枠あたりの収益はクリック率にそのまま比例するので、1ポイントの差が収益に直結します。

やっていることは人材のときとほとんど同じです。並べる対象が候補者から広告に変わり、当てにいく確率が接触からクリックに変わるだけで、構造は変わりません。

メール配信レコメンド:案件選定と文面生成で、メルマガの運用コストが3分の1に

人材紹介業務でのメルマガです。誰にどの案件を送るかの選定をAIに置き換えたところ、メール作成と配信運用にかかるコストが3分の1になりました。

レコメンドというと画面上の並び順を変える話だと思われがちですが、こうした業務そのものの省力化にもよく効きます。

不動産:1件ずつ精査する前に、買い目のエリアをデータで絞り込む

当社の物件ナビでは、個別物件の価格妥当性、需給バランス、人口トレンド、利回りなどをスコア化しています。

ただ、実際にいちばん効いているのは個別スコアではなく、集計のほうでした。多数の物件データを横断して集計すると、「どんな属性の物件が買い目か」「どのエリアが今割安か」といった傾向が先に見えてきます。担当者の経験則で一件ずつ精査していた進め方から、データで有望なエリアを絞ってから個別判断に入る形に変えられる。ここが実務的な価値だと感じています。

企業と企業のマッチング:課題の文章と商品情報を突き合わせ、回る順番をつける

人と求人だけでなく、企業と企業をつなぐ場面でも同じ考え方が使えます。

事前に集めた相手側の課題を自由記述で受け取り、こちら側の商品やサービスの説明文と突き合わせて、関連度をスコアにする。すると、限られた時間の中でどこから当たるべきかという優先順位がつきます。キーワードが完全に一致していなくても、意味が近ければ拾えるのがポイントです。

課題は自由に書かれた文章なので、条件検索では拾いきれません。文章として書かれた情報が多い領域ほど、この当て方は効きます。

精度を上げにいく前に、知っておいたほうがいいこと

当社でマッチング精度を改善する上での注意点を紹介します。

絶対に外せない条件は、AIに判断させない

当社のAIのスコアリングは、AIによる加点と減点で構成されます。いろいろな要素を見て、総合点の高い順に並べる。この仕組みは強力なのですが、裏を返すと他の項目が高得点なら、ある条件を満たしていなくても上位に来てしまうということでもあります。

年齢や性別、必須資格の有無のような、そもそも満たしていなければ話にならない条件を、この加点減点に混ぜてはいけません。総合点で押し流されて、絶対条件を見逃します。そしてマッチングの条件を誤ったレコメンドは、人材会社様の信頼を失墜させます。

加点と減点はAIの仕事。ただし足切りは、ルールで固定したフィルタでやる。この切り分けが重要です。AIによるスコアリングの派手さに目が行きがちですが、地味なフィルタリングの設計を外すと危険です。

文面の生成AIっぽさは、それだけで相手の信頼を削る

マッチング精度改善における生成AIの活用は、しばしば落とし穴になります。

相手に届く文章までAIに任せた瞬間、受け取った側にはすぐ分かります

そして、生成AIで書かれたと感じさせる文面は、それだけで強い不信感を生み、ブロックされてしまいます。そしてこのメール直通率を含め効果検証ができている会社は多くありません。

送り先は自動、文面は人が仕上げる。この半分だけの自動化が、AIと人との現実的な落としどころでしょう。

マッチングシステムは、導入後が本番

マッチングシステムが導入後が本番です。

コーディネーターや採用担当の方が使いこなせなければ、どれだけ精度の高いリストが出ても、現場は結局これまでのやり方に戻ります。操作を覚えてもらう時間も要りますし、「このスコアは信用していいのか」という感覚が馴染むまでにも時間がかかります。

だからこそ、なぜこの候補が上位に来たのかという理由を一緒に見せられる設計にしておくことが効きます。根拠の見えないスコアは、現場では使われません。導入の計画を立てるときは、開発期間だけでなく、現場に馴染むまでの期間も最初から見込んでおくことをおすすめします。

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