人材・採用のデータ活用
データ活用の主な課題は、企業と人のマッチング
人材・採用の領域におけるデータ活用の主課題の一つは、企業と人、あるいは案件と人を結びつける「マッチング」です。これは企業や案件の持つ人材への要件と、人材の特性やスキル、キャリア等の適合度を算出し、双方が満足する引き合わせを行うことです。このマッチングではタイミングにより成果が変わり、案件の充足状況も、個人の転職や稼働の意向も、生き物のように刻一刻と移り変わります。
案件、求人など考慮する数の規模が、人の処理能力を超えていく
マッチングにおいてデータ活用の余地が大きいのは、案件や企業、採用部署、求人といった扱うべき対象の数が、人の処理能力を容易に超え得るからです。採用する人数、関係する部署、案件、企業のいずれもが多く、担当者一人の頭のなかで組み合わせを比較しきることはできません。
また、高度スキルの派遣業やフリーランスマッチングなど、高度な専門性を要する業務においては、採用担当者が案件の要件も人材のスキルも十分に把握しきれない場面が生じます。逆に転職採用・新卒採用では、個人のキャリア以外にも個人の希望や価値観といった文面として定義困難な要素が広く出てきます。
動き続ける情報は、デジタル化されづらく担当者の記憶に溜まってしまう
人材領域は採用者の人手が多く必要である側面があり、また刻一刻と変わる情報の共有が仕組み化しづらく、属人化が進みやすい性質を持ちます。例えば、案件の採用状況や、求職者の他社の進行状況など、個人の記憶の中で滞ってしまいます。また社内の採用担当者間で明文化されないルールやノウハウも多く、流通・物流の領域で、配車や庫内の段取りがベテランの経験に蓄積されるのと同じ構図といえます。
判断に必要なデータが、複数のシステムに散らばる
また規模の大きい組織ほど、採用管理システムや就業管理システム、営業管理のためのCRM、メール配信システムなど、多くのSaaSツールがすでに導入されています。結果として、判断に必要なデータが複数のシステムに分散し、それがデータ活用のハードルとなります。逆に言えば、この分散を解消すること自体がデータ活用の成果に直結し得ます。
当社が構築した人材マッチングの仕組みでは、案件情報、応募履歴、接触履歴、職歴、架電記録、会員属性といった5種類以上のデータソースを統合してスコアリングを行い、人力で作成したリストの接触率10%に対して41.8%まで改善しました (当社人材企業様事例)。人が参照できる情報源が通常1〜2種類であることを踏まえると、この差はデータ統合の帰結として自然なものです。これは流通の領域でWMSとの連携可否が取り組みの範囲を規定するのと類似しています。
個人情報の取り扱い
もう一つ、この領域に固有の論点として、個人情報の取り扱いがあります。データ活用の設計は、個人情報の取り扱いを徹底する必要があり、当社ではマスキングをはじめとする何重もの手当てを施します。
人の領分とデータ活用の領分を分ける「半自動化」
人材・採用は、扱う対象が多く、状況が絶えず動き、かつ判断が属人的に蓄積されやすい領域ですが、人の対話によって生まれる関係性といった「人の領分」と、データ活用による採用者の判断の意思決定の支援を行う「データ活用の領分」を上手く分けた半自動化を目指す必要があります。