王立統計学会(RSS)会員行動規範
本規範は、英国王立統計学会(Royal Statistical Society: RSS)が公表した会員行動規範(Code of Conduct)の日本語参考訳です。正式な文書は英語原文であり、解釈に疑義がある場合は原文が優先します。原文はRSS公式サイト(PDF)で公開されています。原文で「Fellow」とされる語は、RSSの会員身分を指す用語として「会員」と訳しています。
RSSの認定データアナリスト、認定データサイエンティスト、上級認定データサイエンティストなどの認定を受けた方は、RSSの専門会員としてこの行動規範を守ることが求められます。認定の申請を検討されている方も、認定後にどのような行動が期待されるのかを知る手がかりとしてご覧ください。
1. 目的と適用範囲
本行動規範は、公衆の信頼を維持するために、王立統計学会(RSS)のすべての会員に求められる行動を定めるものです。本規範は、勅許状に定められた価値と原則を基礎とし、細則第23条に定められた責務を具体化するものです。2025年11月に理事会により正式に承認されました。
本規範は、公共の利益のために統計学の科学とその応用を発展させるという学会の使命を支えるものです。
本規範はすべてを網羅するものではなく、会員が直面しうるあらゆる状況を想定することはできません。会員は、自らの行動と意思決定を律するにあたり、本規範の原則に導かれながら、専門職としての判断と常識を働かせることが期待されます。本規範において「統計学(statistics)」という語は、データサイエンスおよび関連する専門分野を含むものとして用いられます。
2. 公共の利益
-
2.1 会員は、統計の応用および伝達において、公共の利益を指導原則として堅持すべきです。
-
2.2 会員は、公衆衛生、プライバシー、安全、他者の福祉、および環境に十分な配慮を払うべきです。これらの責務は、雇用者、顧客、または専門職に対する義務よりも優先されます。
-
2.3 会員は、自らの分野において適切な知識を有していることを確保し、関連するすべての法令、規則、規範、および基準を遵守すべきです。
-
2.4 会員は、すべての人を尊厳と敬意をもって、差別なく扱うべきです。専門職としての活動は、年齢、性別適合、婚姻またはシビル・パートナーシップ、妊娠または出産、障害、人種、宗教または信条、性別、性的指向を理由とする偏りや偏見なしに行われるべきです。
3. 専門職としての行動
- 3.1 会員は、専門職の誠実性と評判を守り、その名誉を傷つけるおそれのあるいかなる行為も避けなければなりません。
会員は次のことを行うべきです。
- 統計学およびデータサイエンスの知識と理解の向上に努め、その活用を提唱する。
- 統計的手法および結果が、正確かつ明瞭に、歪曲なく提示されるようにする。
- 自らの名前を冠する業務について個人として責任を負い、著者表示が自らの貢献を正確に反映するようにする。
- 統計目的でAIを利用する際には、モデルが適切で代表性のあるデータで学習されていること、バイアスが評価されていること、結果が検証されていること、そして知見が透明性をもって伝達されることを確保する。
- 専門職としての判断が公正であり、偏りや他者からの不当な影響によって損なわれないこと、また損なわれていると受け取られないことを確保する。
- 利益相反が生じた場合には、速やかに雇用者、顧客、またはその他の関係する利害関係者に開示する。
- 資格ある統計的助言の価値を提唱し、適切な訓練を受けた専門家に助言を求めるよう他者に促す。
- 個人の立場で公の発言を行うのは、それにふさわしい資格・能力を有する場合に限り、その正確性と信頼性を確保する。
- 専門職の評判、ひいては学会の評判を損なうおそれのある虚偽または誤解を招く発言を避ける。
3.2 会員は、統計家、データサイエンティスト、および他の専門職の仲間と、相互の信用、信頼、敬意、誠実さに基づく専門的関係を育むべきです。
会員は次のことを行うべきです。
- 敬意ある協力的な環境を維持し、他の専門家の能力について懸念を提起するのは、十分な根拠のあるやむを得ない理由がある場合に限る。
- 他者の知的財産を尊重し認め、専門職の垣根を越えて関連する実務規範を遵守する。
4. 雇用者および顧客に対する義務
-
4.1 会員は、雇用者または顧客の要求に従い、十分な注意と勤勉さをもって業務を遂行すべきです。
-
4.2 会員は、雇用者または顧客との間で締結した守秘義務に関する合意を尊重すべきです。
-
4.3 会員は、自らが貢献していない業務、または自らの貢献を誤解を招く形で示す業務に、自らの名前が付されることを許してはなりません。
-
4.4 会員は、自らの専門的判断が覆された場合には、そのリスクと起こりうる結果を指摘すべきです。
-
4.5 専門職として行動する能力が損なわれる状況に直面した会員は、次のことを行うべきです。
-
給与を受けて雇用されている場合は、その状況を雇用者に書面で通知する。
-
顧客にその状況を書面で通知し、適切であれば当該業務からの離脱を検討する。
-
-
4.6 会員は、不正行為が行われた、行われている、または行われる可能性が高いと合理的に信じる場合には、懸念を提起すべきです。不正行為、非倫理的行為、健康・安全上のリスク、または法令違反が疑われる場合には、公益通報を検討すべきです。
5. 学会に対する責務
- 5.1 会員は、学会の評判を守り高めるべきです。
会員は次のことを行うべきです。
- RSSの勅許状、細則、および規程を遵守する。
- 会費および登録料を期限内に支払う。
- 選挙、会議、イベントを含む学会の活動に、誠意と誠実さをもって参加する。
- 虚偽または誤解を招く発言を避け、そのような発言が学会の評判を損なうおそれがある場合には、積極的に反論する。
- RSS、その理事会、または委員会を代表して発言するのは、理事会からの正式な授権がある場合に限る。
- 勅許状に定められた学会の目的を支持し推進する。
6. 個人としての誠実性
-
6.1 会員は、高い水準の個人的誠実性を自ら示し、専門職の価値、評判、および基準を守る形で行動すべきです。これは、同僚、他の会員、関連分野の他の専門家、およびRSSの職員に対して適用されます。
-
6.2 会員は、職業生活および学術生活のあらゆる側面において、誠実さと高潔さをもって行動すべきです。
会員は次のことを行うべきです。
-
自らの専門的能力の範囲内でのみ、業務またはサービスを提供する。
-
自らの業務、および自らの監督下にある同僚の業務について責任を負う。
-
自らの資格およびRSSの会員資格の状況を正確に表示する。
-
客観的で信頼でき、偏りのない専門的意見を提供する。
-
6.3 会員は、職業上のものか私的なものかを問わず、電子メールやソーシャルメディアを含むオンラインでの活動を含むあらゆる形態のコミュニケーションにおいて、専門職としての品位と高い行動基準を守るべきです。
-
6.4 会員は、腐敗行為または違法行為に関与してはなりません。会員は次の事項を学会に報告しなければなりません。
-
自らに対する、まだ消滅していない刑事上の有罪判決。
-
会社取締役としての資格を剥奪された場合。
-
-
6.5 会員は、他の会員による本規範の違反を防ぐために適切な措置を講じるべきです。違反の可能性を認識した場合には、RSSに報告しなければなりません(第7条参照)。
-
6.6 会員は、要請があった場合、RSSの懲戒手続または苦情処理手続に全面的に協力することが期待されます。
7. 行動規範違反の疑いの報告
RSSの会員は、行動規範違反の疑いがある場合、これを報告することが求められます。報告は、学会の会員でない個人からも行うことができます。すべての報告は、RSSの懲戒手続に従って取り扱われます。
懸念を提起したい場合は、専門サービス部長(Director of Professional Services)または専門職担当副会長(Vice President for Professional Affairs)宛てに、[email protected] までに電子書面で英文にて提出してください。
8. 一般的な問い合わせと助言の依頼
専門職委員会(Professional Affairs Committee)は、本行動規範およびその他の専門職に関する事項について、秘密を保持したうえで個別の助言を提供することができます。これには、状況によって専門職として行動する能力が損なわれていると個人が感じる場合も含まれます。問い合わせは [email protected] まで英文にてお送りください。
お問い合わせ
下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
担当者より折り返しご連絡いたします。